2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13769
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷田川 友里 東京工業大学, 理学院, 准教授 (90819343)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 分岐 / 導手 / エタール層 / 特性サイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
部分的に対数的な分岐理論と特性サイクルとの関係性について研究を行った。ここで、部分的に対数的な分岐理論とは、層が分岐する境界の既約成分ごとに対数的・非対数的な分岐のどちらを考えるか選択できるようにした理論である。その結果、次のような進展が得られた。 まず、部分的に対数的な分岐理論を展開することで、階数1の層が部分的に対数的によい分岐をもつ場合に部分的に対数的な特性サイクルを対数的・非対数的な特性サイクルの代数的構成の類似として構成し、部分的に対数的な特性サイクルの余接束への引き戻しが代数的サイクルとして定まる場合に、一般の構成可能層に対して抽象的に定義される特性サイクルとの一致を特性サイクルの基の余次元が2以下の場合に証明した。その際、研究の一つの目的であった、部分的に対数的な理論の有用性の考察については、1.部分的に対数的な分岐理論において適切に対数的な極を選択すると、ブローアップにより部分的に対数的な特性サイクルの余接束への引き戻しが代数的サイクルとして定まる状態にできること、2.部分的に対数的によい分岐という条件は対数的・非対数的によい分岐という条件よりも弱い条件であるということがわかった。このうち1.は対数的な分岐理論にはない性質である。2.は対数的な分岐理論にあり非対数的な分岐理論にはない性質であるブローアップによって曲面上の階数1の層の分岐をよくできるという性質が、部分的に対数的な分岐理論にもあることを示すものである。また、部分的に対数的な特性サイクルの引き戻しが代数的サイクルとして定まり等しくなるような2つの層が同じ特性サイクルを持つという意味で、部分的に対数的な特性サイクルの余接束への引き戻しは特性サイクルを決定するということも示した。 これらの結果は年度内に投稿はできなかったが、プレプリントとしてまとめ、投稿を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目標としていた部分的に対数的な分岐理論の展開についてその大部分を展開できたため。また、基の余次元が2以下の部分に限られるが、理論の中で代数的に構成される部分的に対数的な特性サイクルと特性サイクルとの一致がわかり、理論と合わせて、部分的に対数的な分岐理論が特性サイクルの分岐の不変量を用いた表示を考える上で課題であったどの分岐理論を用いるかという問題の一つの答えであるといえるくらいの結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
部分的に対数的な特性サイクルの理論を特性サイクルの理論の類似として展開できるか考察し、展開できれば代数的に構成した部分的に対数的な特性サイクルとの関係性を調べる。また、それを用いて、代数的な理論において残っている問題である、部分的に対数的な特性サイクルとオイラー数との関係性について調べる。
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Causes of Carryover |
当該年度中には対面での研究集会がだんだんと開催されていったり、国内外への移動がしやすくなったりすると考えていたが、実際には依然としてオンライン開催・ハイブリッド開催の研究集会が多く、対面での参加も推奨されない状態が続いたため。次年度はだんだんと対面での参加が可能になっていくと考えられるので、それに従い、次年度使用額は当該年度に参加できなかった分まで次年度に参加したり、対面でのセミナーを開催したりするという計画で使用する。また、研究上必要になる書籍等の購入費として使用する。
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