2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K13775
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川節 和哉 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (90853531)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 頂点作用素代数 / 共形場理論 / Kac-Moody リー環 |
Outline of Annual Research Achievements |
頂点代数は二次元共形場理論の作用素積展開を公理化した代数系である。頂点代数にヴィラソロ代数の対称性の構造を入れたときは頂点作用素代数と呼ばれる。平滑な頂点作用素代数は指標のモジュラー不変性を持つことが知られており、共形場理論の有理共形場理論と対応し、最も重要なクラスをなす。頂点代数Vとその部分代数Wの組に対して、VにおけるWのコセットという頂点代数が定義される。VとWが共に平滑な頂点作用素代数の時、コセットも必ず平滑になると信じられている。平滑な頂点作用素代数はまだ分類されていないので、それを一般的に証明することは分野の大問題の一つである。 本研究では、コセットの平滑性が頂点代数の範囲ではどう見えるか確かめるために、平滑な頂点作用素代数において、平滑だが頂点作用素代数ではない部分頂点代数を考え、そのコセットを調べている。 これまでの成果として、レベル1のA1型の頂点代数のコセットについて、その生成元を求めた。次数が低いところから順々に作用素積展開の計算を進めていき、生成元の分布についての予想を立てた。さらに、その予想を元に、コセットが有限生成でないことを証明することが出来た。これより、驚くべきことに、このコセットは平滑でないことが証明された。つまり、平滑性の予想は、頂点代数の範囲では成り立たないことが分かった。しかし、ある一定の有限性が成り立ちそうなことが見えてきたので、今後はそれについて調べる予定である。また、このような例が頂点作用素代数で見つからないかということも考えていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A1型のレベル1のコセットについて、その生成元の分布について予想を立て、有限生成ではないことを証明することが出来た。従って、頂点代数の範囲では平滑性予想が成り立たないことを証明することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
A1型のレベル1のコセットについて、平滑性は成り立たないまでも、何らかの有限性が成り立つと考えられるので、C2代数の構造などをより詳しく研究する。また、生成元を確定することを目指す。また、高いレベルや別の型のコセットについてどうなるかも研究していく。さらに、頂点作用素代数の範囲で今回の例と似たものが見つからないか探していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、研究集会や対面での研究打ち合わせの予定がキャンセルや延期となったため、次年度使用額が生じることになった。コロナ禍が落ち着く兆しが見えてきているので、研究集会や研究打ち合わせの参加旅費、共同研究者の招聘旅費や、図書購入やコンピュター関連消耗品の購入など、物品の購入などに使用する。
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