2021 Fiscal Year Research-status Report
A new approach to research on the Shi arrangements
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21K13777
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Research Institution | Wakkanai Hokusei Gakuen College |
Principal Investigator |
陶山 大輔 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 講師 (20746755)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超平面配置 / 自由超平面配置 / Shi配置 / Ish配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
超平面配置に付随する対数的ベクトル場,すなわち,全ての超平面に沿うような多項式ベクトル場がなす加群が自由加群であるとき,超平面配置は自由配置であるといわれる.自由配置は,その超平面配置に含まれる超平面の共通部分によってつくられる交叉半順序集合の特 性多項式や,超平面配置を複素化したときの補集合のポアンカレ多項式が整数係数上で1次式に分解するなどの著しい性質を持つ.Shi配置はA型アフィン・ワイル群の元のある種の同値類の集合とShi配置の部屋が一対一に対応する,というJ.-Y.Shi氏の研究の中で,元々A型のルート系に対してのみ導入されたものである.Shi配置はWeyl配置の各鏡映面に平行な超平面を付け加えたという単純な対象であり,その自由性が,Edelman-Reiner予想の解決という形で示されているが,Weyl配置の自由性が基本不変式を用いて具体的に基底を記述することによって示されたのに対して,Shi配置の自由性はG. M. Ziegler氏による重複度付き超平面配置の理論や,代数幾何的な手法を用いて基底を構成することなく示された.その後,寺尾宏明氏,R. Gao氏, D. Pei氏, 申請者によってA型,B型,C型,D型のルート系に対するShi配置の基底構成がなされたが,それらはルート系の型に依存しており,全ての型を尽くしてはおらず,また得られた基底の形も非常に複雑なものであった.今年度の研究成果は,吉永正彦氏との共同研究により,離散積分を用いるという新たな手法により,A型のCatalan配置とShi配置の基底を構成することに成功したことである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
元々の研究計画としては,これまで研究されていたA型のルート系に対するShi配置とIsh配置の自由性や組み合わせ論的性質における類似性を,他のルート系に対しても適用できないか,という方針を予定していたが,今年度の研究ではIsh配置との関連性からの成果は得られなかった。しかし,Shi配置の新たな手法での基底構成が成功したという点において,一定の成果を残すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在は,辻栄周平氏,Tan Nhat Tran氏との共同研究により,B型Ish配置の構成について研究している.また,離散積分でのShi配置の基底構成についても,A型以外のルート系に適用することができるような方法を模索している.
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Causes of Carryover |
感染症の流行により,予定していた研究打ち合わせ等をオンラインで行ったため予定額との差額が生じた.差額分については翌年度に予定していた研究打ち合わせの回数を増やし,その費用に使用する.
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