2021 Fiscal Year Research-status Report
負の正則断面曲率をもつ複素多様体の代数幾何学的構造の研究
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21K13784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 亮介 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任助教 (40858643)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 正則断面曲率 / ケーラー多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
正則断面曲率は複素多様体に定まる曲率の一種であり,その定義は多様体の複素構造に依存している.定義は微分幾何学的に簡明ではあるが,その性質は十分に理解されているとは言えない.その一方,複素多様体にはリッチ曲率も定義される.リッチ曲率は1970年代にヤウによってカラビ予想の解決をはじめとして古くから多くの研究成果がある.特に近年のケーラー・アインシュタイン計量やその代数幾何学的性質に関する研究の発展はめざましい.このように正則断面曲率は基本的な概念でありながらもリッチ曲率と比べるとわかっていない部分が多く,リッチ曲率のとの関係性も明らかではない. さて本年度は,かねてから研究してきたケーラー・リッチ流と正則断面曲率の関係について研究を行なった.ここでケーラー・リッチ流とは,リッチ曲率を用いて定義される発展型偏微分方程式のことである.ティアンらによって指摘されているように,ケーラー・リッチ流は代数幾何学的な観点からも重要であると期待されいてる. その中で,平坦なケーラー多様体と負曲率を持つケーラー多様体の直積で表されるケーラー多様体であって,全体で負の正則断面曲率をもつものの上でケーラー・リッチ流がどのように振る舞うかを研究した.代数幾何学的な考察により,このような多様体の上では,ケーラー・リッチ流の解は平坦な方向に潰れていくように時間発展していくことが期待される.そこで,ケーラー・リッチ流に沿って,ファイバーの直径がどのように時間発展するかについて評価を考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正則断面曲率とケーラー・リッチ流に関する研究が進んでおり,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては,これまでの研究を踏まえて直積の場合を考察するとともに,より一般の場合に向けて葉層構造についても取り組んでいく.
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Causes of Carryover |
昨年度はコロナ禍であったため,研究集会で出張することができなかったため.今年度はそれが可能になるのではないかと考え,計画を行なっている.
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