2021 Fiscal Year Research-status Report
写像の特異点論における,ジェネリシティーの先駆的研究
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21K13786
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一木 俊助 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (80836346)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 特異点論 / 横断性定理 / 安定写像 / 多目的最適化 / トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀半ばに提出された「安定写像は写像空間内に稠密に存在するだろうか」という特異点論における一つの重要問題は,1970年代前半にジョン・マザー(1942-2017)の安定写像の一連の理論により,定義域多様体がコンパクトな場合においては,その稠密性の特徴づけが与えられた.定義域多様体がコンパクトでない場合については,その数年後の1979年にA. Dimcaが,終域が直線という特別な場合において調べ,その場合は安定写像は稠密には存在しないという結果を与えた.そして本年度申請者は,定義域多様体がコンパクトではない場合は,いつでも安定写像は非稠密になることを証明した.この結果と,上述のマザーの結果を合わせることによって,安定写像の稠密性問題は完全に特徴づけられたことになる.本結果についての論文は現在査読中である. また,産学連携に関連する最適化の研究として,濱田直希氏(KLab株式会社),溝田裕介氏(九州産業大学)と共同で,可微分性を仮定しない強凸多目的最適化問題の最適解集合の位相的性質に関する研究を行った.本結果についての論文も現在査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,安定写像の稠密性問題の解決されていなかった場合についての厳密な証明を与え,また,工学と親和性の高い最適化方面の研究として,共同研究者とともに,微分可能ではないカテゴリーにおいて新たな結果を得ることに成功した.これらの成果については,当初の「研究開始時の研究の概要」に記載されている方向性とは異なるものの,特異点論の発展及び異分野融合・産学連携への貢献という大きな目標から見れば,研究は順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
「研究開始時の研究の概要」の内容に加え,「(可微分な)強凸多目的最適化問題全体の中で,最適解集合がきれいな階層構造をもつものは稠密に存在するか」という問題にもアプローチし,解決する.
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Causes of Carryover |
本年度に必要な物品等を購入した結果,17,035円が差額として生じたため,本年度中にその差額分を0にするよりも,次年度の研究において必要となるであろう書籍などに充填した方がより有意義に使用できると判断し,次年度に繰り越した.
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