2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13792
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹内 有哉 筑波大学, 数理物質系, 助教 (60899087)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CR多様体 / CR山辺の問題 / 漸近的双曲空間 / Graham-Wittenエネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
共形多様体・CR多様体について研究を行っている.本年度の主な研究成果は以下の通りである.
(1) CR山辺定数とCR構造:共形幾何における山辺定数は共形構造の変形について連続であり,3次元以上の場合には山辺定数が実際に変化する変形族が必ず存在する.また3次元以上の多様体には山辺定数が負であるような共形構造が必ず存在する.一方でCR山辺定数はCR構造に可積分性を課しているために共形幾何のような自由な変形が許されない.本年度はChanyoung Sung氏との共同研究でKahler-Einstein多様体上の円周束に対してCR山辺定数が実際に変化する変形族を構成した.さらにCR山辺定数の符号が異なるCR構造をもつ多様体の具体例を構成した.その構成には複素射影平面の8点ブローアップとBarlow曲面に関する結果を用いた.
(2) 特殊Einstein積への極小はめ込み:特殊Einstein積とはEinstein多様体の積として得られるRiemann多様体であって,二つのEinstein定数がある関係を満たすものである.この多様体を境界にもつ漸近的双曲多様体はEinstein計量とEinstein定数を用いて具体的に構成することができる.本年度の研究ではEinstein多様体への極小はめ込み同士の積がGraham-Wittenエネルギーの臨界点になることを確認した.また本年度に出たプレプリントの結果を用いることで第二変分の具体的な公式も得られることも確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は共同研究も含めて本研究課題とは直接的には関係しない研究にも取り組んだことにより,計画の実施に遅れが生じている.一方で共形幾何に関する研究の進展によりGraham-Wittenエネルギーに関して調べられる具体例が得られたことは今後の研究において非常に役に立つと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
漸近的複素双曲空間の面積繰り込みを用いたCR多様体への一般のはめ込みに対する不変量の構成に取り組む.また本年度得られた第二変分の公式を具体例に対して適用することで臨界点が安定であるかを調べる.
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Causes of Carryover |
交付申請の際には国内・海外出張に多くの経費を振り分けていたが,新型コロナウィルスの影響もあり,あまり使用することができなかった.しかしながら次年度は参加する海外での研究集会が既に二つ決まっている.次年度は他の研究集会にも積極的に参加して研究発表や情報収集を行っていきたい.
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