2021 Fiscal Year Research-status Report
カンドル理論を用いたハンドル体結び目の拡大Alexander不変量の研究
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21K13796
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村尾 智 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (10880304)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 結び目 / ハンドル体結び目 / 空間曲面 / カンドル / ラック / ねじれAlexander不変量 / カンドル(ラック)コサイクル不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度における研究成果の一つは,ハンドル体結び目のf-ねじれAlexander不変量の構成である.多重共役カンドルとは,ハンドル体結び目のReidemeister変形を公理化して得られる代数であり,MCQ Alexander pairとは,多重共役カンドルの線形拡大に付随する写像の組のことである.当研究では,MCQ Alexander pairを用いることで多重共役カンドルの微分を定め,有限表示多重共役カンドルとその表現の組に対し,f-ねじれAlexander行列を定めた.特に,有限表示多重共役カンドルとして,ハンドル体結び目の基本多重共役カンドルを適用することで,ハンドル体結び目とその多重共役カンドル彩色の組に対するf-ねじれAlexander不変量を構成した. もう一つの研究成果は,有向空間曲面の多重群ラックコサイクル不変量の構成である.空間曲面とは,3次元球面に埋め込まれたコンパクトな曲面のことであり,枠付きハンドル体結び目とみなすことができる幾何的対象である.また,多重群ラックとは,有向空間曲面のReidemeister変形を公理化して得られる代数であり,群の直和構造を持つラックである.当研究では,多重群ラックの(コ)ホモロジー理論を構築し,有向空間曲面の多重群ラックコサイクル不変量を構成した.また,既知のラックコサイクルから新たなラックコサイクル,多重群ラックコサイクルを構成する手法を確立し,多重群ラックコサイクルの具体例を与えた. また,上記の研究成果及びその関連研究について,国内外の研究集会やセミナーにて講演を行い,結び目理論研究者と議論を交わし,専門知識を学ぶと共に情報の収集を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハンドル体結び目のf-ねじれAlexander不変量及び,有向空間曲面の多重群ラックコサイクル不変量という,新たな二つの不変量を構成したことより,概ね順調な研究成果を挙げたと評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
f-ねじれAlexander不変量を用いて,既存のAlexander不変量では分類できないようなハンドル体結び目の例について考察する.また,多重群ラックコサイクル不変量を用いて,多重群ラック彩色数では分類できないような有向空間曲面の例,特に,有向空間曲面のカイラリティ問題について考察する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により,多くの学会及び研究集会がオンライン開催や規模を縮小して開催されたため,出張計画に遅れが生じた.繰越分の予算は翌年度の出張費及び物品費に使用する予定である.
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Research Products
(5 results)