2022 Fiscal Year Research-status Report
リッチ曲率を用いた動的なハイパーグラフ-クラスタリング-アルゴリズムの開拓
Project/Area Number |
21K13800
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山田 大貴 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (00847270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リッチ曲率 / 協力ゲーム理論 / グラフ理論 / ハイパーグラフ / シャープレイ値 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度,協力ゲーム理論におけるマイヤーソン値がハイパーグラフのクラスタリング抽出において重要な役割を果たすと注目した.しかしながら,マイヤーソン値はグラフの連結性しか考慮していないことから,単純にマイヤーソン値をハイパーグラフ上に拡張するだけではマイヤーソン値からハイパーグラフの構造を理解するのは難しい.この問題を解決するためには新たな配分方法を開拓することが求められる.そこで,本年度では各辺上にシャープレイ値を定義することで個々シャープレイ値と呼ばれる新たな配分方法を導入した.個々シャープレイ値は,既存の分配方法であるシャープレイ値やマイヤーソン値で満たす性質を保持したまま,グラフの構造を強く反映している値であることが分かった.更に個々シャープレイ値とリッチ曲率との関係性も証明に成功したことで,個々シャープレイ値がハイパーグラフの構造に大きく貢献することを明らかにした.また,個々シャープレイ値はクラスタリングを求める際に使われる数学的指標である"中心性"とも関係を持つことから本研究成果は研究実施計画に記載した「既存アルゴリズムとリッチ曲率の関係性の究明」における研究目標を達成できるものと言える. 本研究成果は,2度の国際研究集会「The 2nd Shot of The 13th MSJ-SI “Differential Geometry and Integrable Systems」と「Geometry and Probability」で講演を行い,現在は論文としてまとめ応用数学関係の雑誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿った研究成果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度,既存アルゴリズムとリッチ曲率の関連性が明らかになったため,この関連性を用いることで既存アルゴリズムにおける時間変化に対応できないステップを選定することが今後の研究目標の1つとなる.目標達成には個々シャープレイ値に関する研究を深化させ,既存アルゴリズムを個々シャープレイ値を用いた形に修正することが必要である.そこで,シャープレイ値やマイヤーソン値に関する性質を掘り下げ,個々シャープレイ値に拡張する.加えて,既存のアルゴリズムを積極的に活用している諸科学の専門家と積極的に議論を重ね,実用的な動的アルゴリズムを個々シャープレイ値を用いた形に書き直していく. 尚,もし十分な研究成果を得られなかった場合は,個々シャープレイ値の定義に用いられる特性関数を修正することや既存のアルゴリズムを介さない新たなアルゴリズムの構築も視野に入れて研究を進めていく.
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Causes of Carryover |
共同研究者との打ち合わせを対面で実施する予定だったが,コロナウィルスの影響でオンラインでの打ち合わせに変更になったため旅費が計画していたよりも下回った. コロナウィルスの感染フェーズが引き下げられたことを受け,翌年度は対面での打ち合わせや研究集会が予定されているため,これらの旅費にあてる.
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