2023 Fiscal Year Research-status Report
Macdonald及びRuijsenaars作用素に対する固有値問題の代数的解析
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21K13803
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
大久保 勇輔 摂南大学, 理工学部, 講師 (20869036)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子トロイダル代数 / 変形Virasoro代数 / 超対称Virasoro代数 / 共形場理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子トロイダルgl_n代数とは、アフィン量子群のある種の一般化として与えられたHopf代数であり、特にgl_1の場合は、楕円曲線に付随するHall代数や、W_(1+∞)代数のq変形などとしての側面をもち、幅広い応用を持った代数である。また量子トロイダルgl_1代数からは、変形Virasoro代数(Macdonald多項式との相性が良くなるように作られたVirasoro代数のq変形)が生成できることが知られている。 今年度は量子トロイダルgl_2代数から、N=1超対称Virasoro代数のある種のq-変形が得られることを発見した。その方法は量子トロイダルgl_1代数から、変形Virasoro代数を得る方法と同様であり、ある生成元に代数の余積を作用させ、自由場表示した上で特定のHeisenberg代数を分離することで得られる。その退化極限を計算すると、Kato, Matsudaによるbosonとfermionを用いたN=1超対称Virasoro代数の実現が現れる。このとき、boson-fermion対応によれば、1つのbosonは2成分のfermionに対応するため、もう1つのfermionを分離する。 このq-変形された代数が良い性質を持っているかについては未だ調査中であるが、Goddard, Kent, Oliveのコセット構成、またはBelavinらによる超対称Virasoro代数の構成に対応していることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学の異動に伴い、教育に関する業務に時間を割いたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「研究実績の概要」でも述べたN=1超対称Virasoro代数のある種のq-変形が、良い性質を持っているのかについて調べる。具体的には、Kac行列式の因子化公式や特異ベクトルの存在について調べる。またこの代数は生成元の関係式を上手く書くことができていないという問題があるので、良い関係式をもつような調整方法を考える。量子トロイダルgl_2代数からの構成にはある程度の自由度があるため、その中で良い性質を持つものがあることを期待したい。 さらに数年前に考察したN=2超対称Virasoro代数のq変形との関係についても調査する。
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Causes of Carryover |
大学の異動に伴う教育業務の一時的な増加や家庭の事情により、研究集会等への参加を控えたため。
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