2021 Fiscal Year Research-status Report
工学的アイデアを用いた調和解析学における未解決問題へのアプローチ
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21K13806
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 昌平 大阪大学, 理学研究科, 助教 (30896121)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フーリエ拡張作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
最初の研究目標であった、一般の曲面に対する、Sobolev指数の意味で弱い溝畑竹内予想についての研究をおこなった。特に、空間2次元で、一般の曲線を考えた時に、曲率が各点で一様に真に浮いているという仮定の下で、肯定的な結果が得られた。これにより、Bennett--Nakamura (2021)の円に対する結果の一般化に成功した。他方で、オリジナルの溝畑竹内予想は、曲率によらない不等式であったため、いかにして曲率の条件を取り外すかについての研究も行っているが、現在のところ明らかになってはいない。 次に、オリジナルの溝畑竹内予想に向けて、フーリエ拡張作用素にトモグラフィー原理のアイデアを適用する研究を行った。Bennett--Nakamura (2021)において、単純にトモグラフィー再生公式をあてがうのみでは、オリジナルの溝畑竹内予想の解決までには至らないのではないか、という観察を与えていた。その問題点を解決するべく、時間周波数解析における概念の時間周波数分布関数を、適切なものを差し引くというアイデアを見いだした。その結果、量子物理学において現れるWigner distributionとの関連を見出した。その結果、そのWigner distributionをより広い枠組みで扱う、時間周波数解析の知見を取り入れるという新たな展開が得られた。 合わせて、Fokker--Planck方程式による正則化効果を用いて、関数不等式(NelsonのhypercontractivityとGrossの対数Sobolev不等式)が改良することができるという新たな知見を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の研究目標であった、一般の曲面に対する、Sobolev指数の意味で弱い溝畑竹内予想についての研究において、2次元空間でかつ曲率が一様に真に浮いているという過程の下ではあるが、肯定的な結果が得られたため。実際に、オリジナルのフーリエ制限予想においては、曲率に関する過程は基本的であるためである。 また、オリジナルの溝畑竹内予想に向けて、フーリエ拡張作用素にトモグラフィー原理のアイデアを適用するという本研究の核心について、新たな手がかりを見つけたため。すなわち、時間周波数解析における概念の時間周波数分布関数を、適切なものを見つけ出して差し引くというアイデアである。このアイデアにより、Bennett--Nakamura(2021)における、典型的な反例であった関数の問題点を、適切に処理できることができる。したがって、この適切な時間周波数分布関数を差し引くという手法を、いかに一般の関数に対して一般化するかがこれからの課題になる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、単純にトモグラフィー再生公式をあてがうのみでは、オリジナルの溝畑竹内予想の解決までには至らないのではないか、という観察をBennett--Nakamura (2021)においてすでに与えていた。この問題点を乗り越えるべく見出した着想が、時間周波数解析における概念の、時間周波数分布関数を、適切なものを見出して差し引くというアイデアである。このアイデアにより、典型的な反例の関数の問題点を処理することができたが、一般の関数に対して、適切な時間周波数分布関数は何か、あるいはその存在をどのようにして保証するか、これらの問題点を解決することがこれからの研究の方針になる。またその際に、時間周波数解析との関連という、これまでに見えていなかった他分野との関連が見えてきたことから、この時間周波数解析の知見を取り入れることで、適切な時間周波数分布関数を見出すための指針が見えてくる。
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Causes of Carryover |
社会情勢により,当初予定していた,海外での研究滞在を断念したため.
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