2022 Fiscal Year Research-status Report
エントロピースペクトルの剛性問題とRuelleゼータ関数の表示
Project/Area Number |
21K13809
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Research Institution | Ichinoseki National College of Technology |
Principal Investigator |
中川 勝國 一関工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (00855455)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 力学系のRuelleゼータ関数 / Gibbs測度 / エントロピースペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
片側シフト上のsuper-continuous関数をポテンシャルとするGibbs測度を考える。令和4年度は、ポテンシャルが局所的定数関数である場合に、Gibbs測度間の測度論的同型が位相的同型に拡張できるための十分条件を与えた。この条件は、特殊なシフトに対しては研究代表者により2021年に得られており(論文として出版済)、今回はこれを一般のシフトに拡張した。さらに、この条件を用いて、局所的定数関数全体(自然に微分可能多様体とみなせる)の中で、Gibbs測度間の測度論的同型が位相的同型に一意に拡張できるようなものが、補集合がLebesgue測度0の開集合を含むことを証明した。これにより、次のことを明らかにした:位相的同型による分類を目指す剛性問題と、測度論的同型による分類を目指す剛性問題は、局所的定数関数をポテンシャルとするGibbs測度では「ほとんど」同じである。2つの剛性問題の差異は、ポテンシャルが一般のsuper-continuous関数でも考えられる。Super-continuous関数の研究は、局所的定数関数の場合の結果をたたき台として行われるため、この結果には意義がある。以上の結果をまとめた論文はDynamical Systems誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度までに、片側シフト上のsuper-continuous関数の十分大きなクラスに対して、Ruelleゼータ関数の多項式表示を導出できているが、当初の目的である多項式表示を用いた剛性問題の解決は果たせていない。局所的定数関数を扱った先行研究の手法の拡張に時間がかかっていることと、新しい異動先での仕事が多忙であったことが理由である。そこで、多項式表示を別の応用例とともに論文にしようとした。具体的には、多項式表示を用いて、Ruelleゼータ関数が有限多項式であることとポテンシャルが局所的定数関数であることの関連を調べようと考えた。しかし、こちらも予期した成果には時間がかかっている。結果的に、一編の論文を出版できたものの、本命の対象である一般のsuper-continuous関数に対する結果のプレプリント執筆・論文出版が果たせなかったため、達成度は遅れていると判断せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は本研究課題の最終年度である。技術的難点の克服と、場合により方針の転換も視野に入れてたうえで、成果をまとめた論文の執筆に全力を挙げる。
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Causes of Carryover |
新しい異動先では1年目ということもあって多忙であり、ほとんど出張できなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は出張を予定しており、旅費として使用する計画である。また、関係図書や雑誌の購入、論文作成・情報収集のためのコンピュータ周辺機器の整備は引き続き行う。
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Research Products
(1 results)