2023 Fiscal Year Research-status Report
臨界型非線形楕円型方程式における解の集中現象の研究-余質量を伴う集中-
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21K13813
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
内免 大輔 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20783278)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 集中と振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究では超臨界指数型非線形項を持つ半線形楕円型方程式の球対称正値解の集中現象についての研究を行った。特に,前年度までの研究によって,超臨界型の爆発解については,最大値まわりの第1の集中部分の漸近的な評価だけでは解全体の挙動を説明しきれないことが明らかになったため,当該年度は爆発解の第1の集中部分の外側の部分で何が起こっているのかを明らかにすることを目指した。このために,Druet(2004)らの諸先行研究による方程式のスケール構造に基づく爆発解析法を当該方程式に拡張し,解析を進めた。この結果,超臨界型の爆発解は第1の集中部分の外側に無限個の集中部分の列を持つことを明らかにした。さらに,極限方程式と解が満たすべき恒等式を駆使してそれぞれの集中部分どうしのつり合い条件を注意深く解析することで,各集中部分の概形,エネルギー,および位置に関する情報を明示的に与えることに成功した。これまでの劣臨界および臨界型に対する先行研究で取り扱われていた爆発解は高々有限個の集中部分を含むもののみに限られていたことに注意すると,当該年度に得られた成果は超臨界型問題ならではの集中現象を先駆けて発見し精密に解析したものとして非常に興味深い。当該年度の研究ではこの研究をさらに推し進め,無限個の集中部分の列が爆発解のグラフ上に無限回の振動を引き起こすことを定量的に証明することに成功した。さらに,このグラフの無限振動により爆発解と特異解の交点数が限りなく増大することを証明することにも成功した。このことにより,最終的に当該方程式の解の分岐図の無限振動の証明にたどり着いた。これは当該方程式における未解決問題の一つを解決する結果として特筆できる。当該結果について学術論文としての執筆および投稿準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった研究範囲を広げ,想定外の良い成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度得られた結果は,より一般の指数増大度を持つ方程式に対しても拡張できることが期待される。そこで今後は,当該年度行った解析手順を見直し改善することで,できるだけ一般の指数型非線形項に対して当該年度の設定で得られた結果と同等かそれ以上の結果を得ることを目指す。特に,一般化された指数型非線形条件のもとで,爆発解の無限集中および無限振動現象,さらに,分岐図の無限振動現象を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の期間に出張等が中止になった影響で昨年度以前までに使用できなかった予算が残っているため。次年度は,コロナ禍期間に延期になっていた短期および中,長期的な海外出張が改めて計画されているため,その旅費や滞在費として使用する。
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