2021 Fiscal Year Research-status Report
ポジティブ関係計算とポジティブ存在論理の相互的研究
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21K13828
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 誠希 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (00866311)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 関係計算 / 有限モデル理論 / 数理論理学 / 計算複雑さ / グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、ポジティブ性をもつ(否定演算を持たない)論理・関係代数の高い決定可能性を起点として、論理と関係代数の双方向的な視点から、新たな決定可能な体系の解明やより精密な計算複雑さの解析を与えることを目的として、研究を進めている。2021年度においては以下をおこなった。 (1)ポジティブ関係計算とポジティブ存在論理との間の表現力および簡潔さの比較:ポジティブ関係計算と3変数ポジティブ存在論理は(二項関係に関して)表現力が等価である一方で、3変数ポジティブ存在論理の式からポジティブ関係計算の項への劣指数サイズの変換は存在しない(Nakamura, 2020)。後者の結果について、有限モデル理論で知られるformula-sizeゲームを関係計算に新たに導入し、よりロバストな証明を与えた。また、この指数的な簡潔さの差は、2変数ポジティブ存在論理とそれに対応するポジティブ関係計算の間では発生せず、3変数の場合に限って発生することを明らかにした。(Nakamura, 2020)とそれを拡張した本結果は、論文誌 Journal of Logical and Algebraic Methods in Programming に採録された。 (2)ポジティブ存在論理とハイパーエッジ置換文法との間のグラフ言語に関する表現力の研究:グラフ言語を表現するための空間意味論を導入し、ポジティブ存在論理とハイパーエッジ置換文法のいくつかのクラスの間で、表現可能なグラフ言語のクラスが一致すること(Kleeneの定理)を示した。本結果は、国際会議 30th EACSL Annual Conference on Computer Science Logic (CSL 2022) に採録された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として挙げていた項目に対して、上記の通りの一定の進展を得たため。関係計算や論理の計算複雑さの解析の問題に関しても、まだ出版まで至っていないもののいくつかの進展を得ているため、これらについても引き続き論文の準備を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き研究計画に沿って研究を進めるが、全く新たな方向として、決定可能性が未解決である結合演算と否定演算のみをもつ関係計算の等式理論に関して一定の進展を得たため、こちらの方向からの研究についても新たに並行して取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
2021年度内での購入を予定していたノートパソコンについて、納期の大幅な遅れがあり年度内での予算執行が困難となったため、次年度頭に購入をおこなう。 また本年度末に参加した国際会議がオンライン開催となったため海外出張を伴わなかった。これにより生じた未使用額分は今後の論文発表およびその準備のための経費に充てる。
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Research Products
(5 results)