2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13835
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
橋本 真太郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (60772796)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ベイズ統計 / 分位点回帰 / 状態空間モデル / ロバスト回帰 / 変分ベイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の遂行課題である非正則回帰モデルは分位点回帰のある種の極限として解釈することができる.今年度はベイズ的な分位点回帰を応用した,分位点の平滑化のためのベイズトレンドフィルタリングの研究を行った.時系列や空間データの平均トレンドの推定はこれまで多くの研究があるが,ベイズ統計の観点で分位トレンドの推定方法はほとんどなかった. 事前分布として縮小事前分布を用いることにより,局所適合的な分位点の平滑化を可能にし,さらに事後分布の計算に対する簡便なマルコフ連鎖モンテカルロアルゴリズムを構成した.この方法は高次元の場合にはやや計算コストが高いため,点推定値を高速に導出可能な変分ベイズ法による近似アルゴリズムも与えることで目的に応じた方法をユーザーが選択できるようにした.提案手法は一般的なグラフ上のデータに対して適用可能であり,応用研究として東京都の犯罪件数の空間データに対するメディアンフィルタリングを行い,提案手法の安定性を示した.これらは研究協力者との共同研究としてプレプリントサーバーにて公開している. しかしながら,高分位点や低分位点などの極値分位点に対してマルコフ連鎖モンテカルロ法はうまく機能しないという問題点がある.そのため,次年度以降はその問題点の解決とともに,極値分位点の平滑化のための新たなモデリングの開発を目指す.また,高次元での事後分布の理論的な振る舞いも研究する. 上記とは別に,外れ値を含む時系列データに対してロバストな変化点検出の方法に関する成果や,フーバー損失に基づくベイズ線形回帰モデルのスパース推測のための効率的なアルゴリズムの提案なども行い,これらを論文としてまとめた.前者は既に査読付き国際会議の会議録として出版され,後者はプレプリントサーバーにて公開している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の非正則回帰モデルの研究に関連するベイズ分位点回帰に関する研究成果を得ることができ,研究課題遂行のための周辺知識も得ることができたから.
|
Strategy for Future Research Activity |
提案した空間分位トレンドフィルタリングをより大規模な実データに適用するためのアルゴリズムの改良と,モデル誤特定バイアスを取り除くための方法について引き続き検討する.また,分位点関数を分位レベルでモデリングすることにより,noncrossing な極値分位点回帰をベイズ統計の枠組みで開発し,スケーラブルな計算アルゴリズムと事後分布の理論的な性質を研究する予定である.
|
Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症により,予定していた国内・国外出張がオンライン開催となったため.次年度の出張旅費や計算機環境の整備に使用予定である.
|
Research Products
(7 results)