2023 Fiscal Year Annual Research Report
量子ウォークの二相系における粒子の漸近挙動についての研究
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21K13841
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
齋藤 渓 神奈川大学, 情報学部, 助教 (80881119)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子ウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては,申請者が本研究とは独立に進行していた量子ウォークのスペクトル写像定理の研究が飛躍的な進展をしたことに伴い,本研究で扱うモデルがその系として扱われてしまうことが判明したため,研究の意義が低下しつつあった.したがって,実施した研究成果としては,まずモデルのさらなる拡張から始まり,学会・セミナー等への参加を通して様々な専門家からの知見を集めることで,研究課題としてのクオリティの増加に取り組んだ.その結果として,磁場付きシュレディンガー方程式との関りが背景にあることがわかるなど,更なる発展が見込まれるという成果が得られた.それに伴い,論文の加筆が必要となるため,現在は改めて執筆作業を進めている状況である. 研究期間全体を通じては,上述の通り,当初予定していた研究計画に沿った方針が,他の研究の系に落ち着くことが判明したため,方向転換を余儀なくされた.しかしながら,そのために,当初の研究計画よりも広い視点でのモデルの考察を可能とする結果に至ったため,研究全体の価値としては大きく向上している.研究期間中にコロナ禍に陥るなど,進行が滞る自体に見舞われたが,昨年度中旬から持ち直し,論文の執筆段階にまで至った.具体的な成果としては,スペクトル写像定理の拡張に成功したことにより,扱うモデルの幅が広まったことで,有限次元における量子ウォークの局在化現象を引き起こす要因,およびその合理的な定式化についての考察が一層深まった.
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