2021 Fiscal Year Research-status Report
Relation between fractality and degree correlation in complex networks
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21K13853
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水高 将吾 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70771062)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度目は、ノードの次数分布が冪分布に従い、各ノード間のつながり方が無相関であるランダム・スケールフリー・ネットワークにおける巨大連結成分の長距離次数相関構造を数値的に調べた。本研究で着目するのは、ネットワーク内の巨大連結成分がフラクタル性を獲得するパーコレーション閾値での臨界構造である。低次数ノード割合をコントロールすることで、さまざまなスケールフリー指数に従うフラクタル性を有するランダム・スケールフリー・ネットワークを数値的に生成し、それらのスケールフリー指数(フラクタル次元)と長距次数離相関構造の関係を調べた。その結果、スケールフリー指数の変化に伴い、長距離次数相関構造が連続的に変化することを明らかにした。本課題では、ランダム・スケールフリー・ネットワークの巨大連結成分の長距離次数相関構造を解析的に求める予定であるが、今年度は先行する関連研究の解析手法の調査にとどまった。また、次数相関構造に関する二つのテーマについて研究を進め論文を執筆した。2012年にEPL誌でValdezらによって議論された正の次数相関構造を有するネットワーク(LOAネットワーク)上のボンド・パーコレーション問題を再検証した。先行研究よりも大規模かつ詳細な数値シミュレーションを行うことで、先行研究の結果とは異なり、LOAネットワーク上のパーコレーション転移の臨界的振舞いを特徴づける指数が平均場クラスのものと一致することを示した。この結果についてはJournal of the Physical Society of Japan より論文が出版された。さらに、隣接次数相関を有するネットワーク上での相乗効果付き感染症モデルを解析し、ネットワーク内のコミュニティ構造ごとに感染が不連続ジャンプを伴って広がることを平均場近似から示した。この結果については論文としてまとめ現在欧文誌へ投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次数相関構造に関するトピックについて一定の成果を挙げた一方で、メインテーマの一つであるであるランダム・ネットワークの長距離次数相関構造とフラクタル性の関係解明に関する研究は遅れが生じた。理由としては、数値シミュレーションにおいてネットワークのフラクタル性及び長距離次数相関を十分に測定するために必要なネットワークサイズが非常に大きいことが研究遂行段階でわかったことが挙げられる。当初予定していたネットワークの生成方法の再検討を要した。また、有限のノード数のみが扱える数値シミュレーションでは、有限サイズ効果が現れる。本研究で扱う臨界構造では有限サイズ効果の影響を強く受けるため、この影響の吟味にも当初予定していたよりも時間を要している。一方で、今年度の数値シミュレーション・プログラムをより洗練させることで、フラクタル性と長距離次数相関の間の関係を精密に調べられるようになる可能性が高いため、次年度は数理的解析に加えて、プログラムの開発も進める。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、ネットワーク生成法など一部に変更が出たが、研究推進の方向性に変更はないため当初の研究計画に沿って研究を進める。また、数理的解析について遅れが出ているため次年度は解析手法の開発に時間を十分に割くようにする。
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Causes of Carryover |
当初計画していた計算機の購入を令和4年度に延期した。令和3年度残額については令和4年度に当初予定した通りの使用を予定している。
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Research Products
(4 results)