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2022 Fiscal Year Research-status Report

非クラマース二重項系における軌道ゆらぎ超伝導の発現条件の検証

Research Project

Project/Area Number 21K13869
Research InstitutionIwate University

Principal Investigator

脇舎 和平  岩手大学, 理工学部, 准教授 (50781465)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsカゴ状物質 / 多極子 / 構造相転移
Outline of Annual Research Achievements

非クラマース二重項基底状態をもつ化合物は、低温で多極子自由度のみが残るため、多極子が関与する新奇物性を調べる上で最適な系である。本研究では、非クラマース二重項基底状態をもつPrT2A2Zn18 (T: 遷移金属, X = Sn, In)について、AやTの元素を別の元素に置き換えた化合物を合成する。この元素置換により、他の非クラマース二重項系で見出されてきた超伝導や多極子秩序といった多彩な物性がどのように変化するかを調べることで、これらの物性の相関と発現機構を探る。本年度は新たな化合物としてPrOs2Sn2Zn18とPrOs2In2Zn18の合成を試みた。得られた多結晶試料について、X線構造解析を行ったところ、目的物質が得られていることを確認することができた。この化合物は構造相転移を示すことが報告されているPrOs2Zn20と同型構造をもつ。PrOs2Zn20ではこの構造相転移によりPrサイトの対称性が低下し、基底状態が非クラマース二重項ではなくなる。一方、PrOs2Sn2Zn18とPrOs2In2Zn18では、比熱測定からPrOs2Zn20で見られた構造相転移が観測されず、低温まで立法晶構造が保たれていることがわかった。このため、PrOs2Sn2Zn18とPrOs2In2Zn18の基底状態は非クラマース二重項である可能性がある。実際に、比熱は降温に伴い10 K以下でジョットキー異常と思われるピークを示した後、3 K以下で上昇をつづける。このことは、3 K以下でもPrがもつ4f電子のエントロピーが放出されていることを示唆しており、結晶場基底状態に多極子自由度が残っている可能性が高いことを示す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究開始年度から研究代表者の所属機関が変更となったため、試料合成に関する実験環境の構築に時間を要し、特に物質合成に関する研究については当初予定よりも遅れが生じていた。しかし、昨年整備を進めた試料合成環境を利用することで、今年度については2つの新たな化合物の合成に成功した。これらの新化合物は研究計画に沿ったものであり、遅れ取り戻しつつあると言える。このため、現在までの進捗状況をやや遅れているとした。

Strategy for Future Research Activity

試料合成環境の構築に時間を要したため、研究計画の進捗に遅れを生じていたが、本年度はその遅れをある程度取り戻すことができた。本年度はさらに遅れを取り戻すため、研究計画にある残りの新物質合成を急ぐ。また、これまでに合成に成功した試料についても、今後様々な測定を進めていく上で大きな単結晶試料を得る必要があるが、こちらについてはまだ成功していない。そこで、これらの試料については、純良で大型な単結晶試料を得るために、これまでに行っていたフラックス法による合成だけでなく、ブリッジマン法による合成に新たに取り組んでいく予定である。さらに得られた試料に対する物性測定も急ぎ進めていく。

Causes of Carryover

研究基盤整備(I)に未使用額が生じたため。すでに交付決定額の変更を申請している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] カゴ状化合物PrOs2Zn20のSn置換効果2023

    • Author(s)
      田村柊斗, 脇舎和平, 清水烈, 小松龍司, 中村光輝, 吉澤正人, 中西良樹
    • Organizer
      日本物理学会 2023年春季大会
  • [Presentation] カゴ状化合物LaRu2In2Zn18の弾性特性2023

    • Author(s)
      小松龍司, 脇舎和平, 中村光輝, 吉澤正人, 中西良樹
    • Organizer
      日本物理学会 2023年春季大会
  • [Presentation] Elastic properties in a cubic compound PrRu2In2Zn182023

    • Author(s)
      R. Komatsu, K. Wakiya, M. Nakamura, M. Yoshizawa, and Y. Nakanishi
    • Organizer
      The 15th Asia Pacific Physics Conference (APPC15)
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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