2022 Fiscal Year Annual Research Report
Topological spin textures in frustrated magnets and their coupling to conduction electrons
Project/Area Number |
21K13877
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
Hirschberger Maximilian (ヒルシュベルガーマックス) 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70871482)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁性 / 液晶 / 強相関電子系 / スキルミオン |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンカイラリティとは、非共線的な磁気秩序に対応する、固体中の電子スピンのねじれを表現する理論概念である。スピンカイラリティを持つ物質では、見かけ上の磁場(創発磁場)が出現し、自由電子の運動に影響を与える。磁気構造と電子の運動をクロスコントロールすることで、次世代デバイスの開発が可能になると考えられている。本年度は、磁性材料の熱的無秩序(常磁性)領域におけるスピンカイラリティの発現に注目した。結晶格子の対称性が、カイラルなスピン揺らぎによる磁場の出現を可能にしたり抑制したりする上で重要な役割を果たすことを実証した。特に、三角格子とカゴメ格子の常磁性領域について研究し、前者では(時間平均)スピンカイラリティが存在せず、後者ではそのようなカイラリティが存在することを報告した。三角格子もカゴメ格子も、三角形の磁気モーメントが平面的に配置されたものであるが、後者だけが大きな効果を示すことがわかった。この格子構造に対する強い感度は、三角格子では隣り合う三角形のスピンカイラリティが相殺されるのに対し、カゴメ構造では相殺されないことを示している。つまり、カゴメ構造は角を共有する三角形で構成され、三角形格子は辺を共有する三角形で構成される。以上のように、磁性体の熱的無秩序領域においても、格子構造に強く依存しながらも、創発磁場を制御することに成功した。この結果は、固体中の創発電磁気学の工学的応用に向けた指針を与えるものである。
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Research Products
(10 results)