2021 Fiscal Year Research-status Report
第一原理DΓAの開発による非従来型超伝導体の定量計算の実現
Project/Area Number |
21K13887
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北谷 基治 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50871331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / 強相関 / 動的平均場理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主眼は、第一原理計算を出発点に強相関効果を取り込むことのできる動的バーテックス近似を組み合わせることで、非従来型超伝導体の転移温度計算を定量的におこない、超伝導物質の物性解明・機能向上を目指すものである。近年発見されたニッケル酸化物超伝導体について、最新の実験結果である圧力依存性や基盤を変更した場合の相図が応募者が以前に行った1軌道の模型で十分説明可能であることから、本年度は計画を若干変更して、主に1軌道の模型での範囲での機能向上の可能性を探った。
まずは1軌道格子模型の範囲で動的バーテックス近似による転移温度の計算を幅広いパラメータ(ホッピング・クーロン斥力・フィリング)に対して行い、依存性を解析した。以前のクラスター動的平均場の計算に比べて、長距離揺らぎの効果を含んだ結果をより低温で行い、超伝導不安定性のパラメータ依存性を広範囲で調べることが出来た。その上で、得られた計算結果を第一原理計算に基づくパラメータの見積もりを組み合わせることによって、元素置換による超伝導機能向上の可能性について考察した。その結果として、単にニッケルをパラジウムに変えると相関の効果が小さくなりすぎるものの、適切なブロック層を考えた場合にはパラジウム酸化物のほうが高い転移温度を期待することが出来る結果が得られた。また、ブロック層を挟むことでフェルミポケットを作らない類似物質として理論的に提案されているニッケル酸化物についても相図の計算を行い、銅酸化物との比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にはなかった、新しく発見された5層系のニッケル酸化物超伝導体や理論的に提案されたフェルミポケットを作らないニッケル酸化物物質についての転移温度計算を行い、物質依存性や相関効果の影響について理解を深めることが出来た。次年度以降はこの知見を活かして手法開発に重きを置いて進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、より複雑な模型、多彩な現象を対象とできるように強相関手法の開発を行ってゆく。
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Causes of Carryover |
購入した物品の費用が予定よりも抑えられたこと、コロナによって国際会議がオンラインに移行したことにより旅費が必要なくなったことにより、次年度使用額が発生した。
次年度は国内外の複数の国際会議に参加する予定であり、そのための旅費として主に使用する。
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Research Products
(8 results)