2021 Fiscal Year Research-status Report
Inflationary universe in light of stochastic calculus, primordial black holes, and gravitational waves
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21K13918
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
多田 祐一郎 名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (90837022)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 確率形式 / 原始ブラックホール / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は4本の論文を発表した。特に "Primordial black holes in peak theory with a non-Gaussian tail" (JCAP 10, 053 (2021)) および "Simulation of Primordial Black Holes with large negative non-Gaussianity" (arXiv:2202.01028 [astro-ph.CO]) では非ガウス性がある時の原始ブラックホール形成条件や、生成量を見積もる「ピーク理論」の整備を行い、初期ゆらぎの統計性を仮定した時の原始ブラックホール存在量見積もりの定式化を推し進めた。また "Statistics of coarse-grained cosmological fields in stochastic inflation" (JCAP 02, no.02, 021 (2022)) では確率形式において任意スケールで粗視化した曲率ゆらぎ、密度ゆらぎ、および圧縮関数の確率密度関数を計算する手法を定式化した。これによりインフレーション模型から原始ブラックホール量等の観測量を確率形式でつなぐ最後のピースが完成したと言える。これらの研究成果について昨年度中5件の国際会議と3件の国内会議、4件のセミナーにおいて発表を行った。うち「名古屋大学・名古屋市科学館公開オンラインセミナー」および「名大発アカデミックフラッシュ 第2報」の2件においてはアウトリーチ活動として一般講演を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は確率解析、原始ブラックホール、重力波を3本柱とインフレーション理論や暗黒物質の正体に迫ることを目的としており、そのうちの2つである確率解析と原始ブラックホールに関して上述したように重要な定式化を行う論文を発表することができた。また近年注目を集めてきている初期ゆらぎ確率密度関数の非ガウス尾について、会議やセミナーでの発表を通じ周知することができた。以上より本研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度では確率解析と原始ブラックホール分野において重要な定式化を行う論文を発表した。そこで次年度は重力波に関し、特に初期ゆらぎに非ガウス尾がある場合の計算法を確立する。当該研究は現在所属研究室の学生らも交え進めているところであるが、そこで重力波スペクトル形から逆に初期ゆらぎの非ガウス性を読み解く可能性も見出した。この可能性を精査し、重力波スペクトルを観測量とし原始ブラックホール量や初期ゆらぎの統計性、さらにはインフレーション理論に対し示唆を与えることができるかを議論する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍につき出張を行うことができなかったため。
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Research Products
(18 results)