2021 Fiscal Year Annual Research Report
重力波を通じた新物理の探究-データ解析ツールの開発とその応用-
Project/Area Number |
21K13921
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 慧生 京都大学, 理学研究科, 特定研究員 (30827118)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一般相対論 / 重力波 / データ解析 / リングダウン / 修正重力理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は重力理論の好ましいパラメター領域を明らかにする目的のため,重力波データ解析のためのツール作成を行なった.特に,連星ブラックホール合体による重力波における最終段階であるリングダウン期に着目し,その時期の波形が一般相対論を超える理論によって変化した場合にこれを捉えるための検証プログラムを構築した. この理論検証においては,リングダウン期における重力波形を特徴付ける2つの周波数を一般相対論の予言からずれ得るパラメターとして扱うことで,データから推定されたパラメターが如何に一般相対論と一致しているか,はたまたずれがあるのかを調べた. 作成したプログラムの動作確認はガウシアンノイズの中に理論波形を挿入した擬似データを用いたインジェクションテストで行った.さまざまな質量やその比を持つ擬似データをSXS重力波データベースから取り出したシミュレーション波形を用いて作成した.結果として,一般相対論によって予言される波形を挿入したインジェクションテストでは高い確度で一般相対論の予言値を推定することが出来ており,想定通りの動作・検証が可能であることがわかった. 実際の観測データを用いた理論検証においてはLIGO-Virgoコラボレーションによって観測・公開されている重力波カタログ(GWTC-1, 2.1, 3-confident catalogs)を対象とし,中性子星連星合体と思われる2つのイベントを除いた全てのイベントに対してパラメターサーベイを行うとともに,それらの結果をスタックして一般相対論の理論検証を行なった.結果として,リングダウン期の信号雑音比が十分に高くない現状の観測においても観測データは3σレベルで一般相対論と無矛盾であることが示された.
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