2022 Fiscal Year Annual Research Report
ユニタリー性を鍵とするインフレーション宇宙の観測に基づく超弦理論の検証
Project/Area Number |
21K13922
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
徳田 順生 神戸大学, 理学研究科, 理学研究科研究員 (20881890)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 散乱振幅 / ユニタリー性 / 量子重力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、2体弾性散乱振幅のユニタリー性・解析性等を用いて定式化される「正値性条件」を重力存在下において導出し、その現象論的帰結を議論することで量子重力理論に基づく現象論を展開することです。2020年度までの研究成果により重力存在下における正値性条件をの成立条件が定量化され、「重力子交換のレッジェ化の詳細に対し作業仮説を課し、その有効理論における現象論的帰結を議論する」ことが可能となります。これは、現象論的帰結の検証を通じ実験的に量子重力のレッジェ振幅の性質に迫る可能性を提示します。
こうした動機のもと2022年度は、暗黒セクターの粒子と光子の2体2体散乱に対して重力存在下における正値性条件を議論しました。その結果かなり普遍的に、光子と暗黒セクター粒子の間の非重力的相互作用(直接結合か別の粒子に媒介される相互作用かなどは問わない)に対して下限が得られると判明しました。 重力子交換のレッジェ振幅の性質を理論的に制限する研究も行いました。我々は、歴史的に強い相互作用におけるレッジェ振幅の文脈で非常に重要な役割を果たした「有限エネルギー和則」に着目しました。この和則を重力レッジェ振幅へ適用し、ユニタリー性・交叉対称性から得られる近年発見された条件「ヌル制限」と組み合わせることで、重力子交換のレッジェ振幅の詳細を理論的に制限しました。特に軽い場のループ補正が無視できる場合には上述の作業仮説が成立することを定量的に示しました。本結果は、現象論的に興味のある4次元時空において、最低時の正値性条件を数係数含めて初めて与えるものです。
本成果を軸に、重力レッジェ振幅の性質の理解を深めることで、着実に重力の量子論と低エネルギーにおける場の理論の関係性に対する理解を深めていくことができると期待しています。
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Research Products
(6 results)