2023 Fiscal Year Research-status Report
フレーバー対称性を有する有効理論を用いた素粒子標準模型を超える理論の解明
Project/Area Number |
21K13923
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 恵 広島工業大学, 環境学部, 助教 (60751237)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 素粒子標準模型を超えた新物理 / フレーバー物理 / フレーバー対称性 / ミューオン異常磁気能率 |
Outline of Annual Research Achievements |
LHCにおける新粒子の直接探査実験で未だ新粒子の兆候は見えていない現在、有効理論を用いて示唆される理論の特徴を引き出す研究が重要性を帯びてきている。有効理論は膨大なフリーパラメータを含み現象論解析が困難なため、解析の道筋を立てるのにパラメータを系統的にコントロールする指標が必要となる。本研究ではその指標として、湯川の構造の背後にある理論として成功をおさめ、新物理の抑制機構としても有力な候補であるフレーバー対称性に注目する。本研究の目的は、実験の状況に照らし合わせながら、フレーバー対称性を課した有効理論を構築し現象論解析の道筋をたてることである。 本年度は、フレーバー対称性として、特にU(2)対称性に注目し、長い間標準模型と実験値とのずれがあることが知られているミューオン異常磁気能率g-2との関係について解析に取り組んだ。ダイポール型の高次元オペレーターを導入すると、ミューオン異常磁気能率g-2に新物理の寄与をツリーレベルで与えることができるが、オペレーターの他のフレーバーインデックスも考えると、ミューオン異常磁気能率g-2だけではなく、レプトンフレーバーを破るような寄与も導入される。μ→eγに代表されるレプトンフレーバーを破る崩壊過程は、実験で探索が進んでおり制限がつけられており、ミューオン異常磁気能率g-2を説明しながらμ→eγの制限を逃れるためには、オペレーターのフレーバー構造が特徴的な構造(対角成分が大きく、非体格成分が小さい)を持っていなければならず、この構造がU(2)対称性で部分的にコントロールされている可能性が先行研究で指摘されている。本研究ではこの議論を他のフレーバーインデックスにも拡張させ、また複素成分の影響も考慮し、電気双極子モーメントやレプトンフレーバーを破るタウの崩壊過程への影響を系統的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
U(2)対称性とレプトンセクターの関係について、実験・理論の進展状況に照らし合わせた系統的な関係を明らかにすることができ、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も共同研究者と議論を定期的に続け、研究の推進をはかりたい。また、研究会へ参加し成果発表し、他の研究者とも議論・討議することで、今後の研究の展開を広げていきたい。
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Causes of Carryover |
昨年は国外出張へ赴くことができず、旅費として予定していた分が残ってしまったが、今年度は海外出張に赴き研究の推進と成果発表に使用する。
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