2021 Fiscal Year Research-status Report
低圧ガスを用いた余剰次元を伝搬する太陽アクシオンの探索
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21K13932
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 佳志 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (80785105)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクシオン / 余剰次元 / ガス検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
余剰次元を伝播するアクシオン"Kaluza-Klein(KK)アクシオン"は素粒子物理学の謎を複数解決可能な,未発見の素粒子である。太陽内部で生成され重力的に太陽系内に捉えられた”太陽KKアクシオン”は10keV程度の質量と有限な寿命(10^11 ~ 10^17日)を持ち,その崩壊によって放出される二光子(5keV+5keV)を捉えることで地球でも観測の可能性がある。ガス検出器では二光子を分離して捉えられるため強力な背景事象除去能力が得られる。また,検出器内崩壊頻度は有効体積のみに依存する。ガス検出器はの大型化は比較的容易で,有効体積拡張性の高さも本研究の強みである。 本研究では,ガス検出器を用いた太陽KKアクシオン探索手法を確立し,観測開始を目指す。2021年度には,マイクロパターンガス検出器の一種であるマイクロピクセルチェンバーを用いて原理検証実験を行った。この実験では,Fe-55線源とAr:C2H6(9:1)混合ガスを用いた。Fe-55の放射する5.9keVによって,3keVのAr特性X線が発生する。また,残りの3keVも同時に検出が可能である。これら(3keV+3keV)を同時検出することで,本研究がKKアクシオン崩壊信号(5keV+5keV)を十分観測可能であることを確認した。また,原理検証に用いた検出器(10x10x1cm3)を参考にして観測用の検出器(10x10x10cm3)を製作し,線源による信号を検出できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原理検証実験によって,KKアクシオン崩壊信号(5keV+5keV)を模した3keV+3keVの信号を検出可能であることを確認できた。観測用検出器システムの構築も順調に進み,概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
連携研究者など専門知識を有する研究者との連絡を取りながら目的達成に向けて研究を着実に推進してゆく。
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Causes of Carryover |
新型感染症感染対策のため出張の機会が減り,次年度使用額が生じた。次年度,実験のための共同研究者の招聘や対面での打合せを行う。
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