2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K13934
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関畑 大貴 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (70844794)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高エネルギー重イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、高エネルギー重イオン衝突実験で生成したクォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)相の初期状態の決定である。当該研究者はLHC加速器でALICE実験を推進しており、世界最高衝突エネルギーでのQGP相の初期状態決定を担っている。そのためには、強い相互作用をしない熱輻射由来の光子と電子対を用いる。ALICE検出器を用いて2018年12月に取得した核子対あたり重心系エネルギー5.02TeV鉛+鉛原子核衝突実験データにおいて、直接仮想光子の電子対崩壊に着目して解析した。同様に、電子対不変質量分布において、既知のハドロン崩壊起源からの超過収量を測定し、ρ中間子とQGP相からの熱輻射を含む理論模型と比較した。当該研究者が主導した直接光子収量や電子対超過収量の物理結果は、ALICE Preliminaryとして承認され、多くの国際会議で発表された。現在、当該研究者は電子対測定に関する論文を投稿した。 それに加えて、電子対解析グループのリーダーとして、2022・2023年に取得した世界最高エネルギー13.6TeV陽子+陽子衝突データにおいて、光子・レプトン対両側面の物理解析を主導している。現在まで、全ての測定の基線となる中性π中間子、η中間子、J/ψ中間子信号を測定し、シミュレーションとの比較を行っている。また、熱輻射電子対測定に対する背景事象除去のための機械学習の開発も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究者が主導した直接光子収量や電子対超過収量の物理結果は、ALICE Preliminaryとして承認され、QM2023などの多くの国際会議で発表された。現在、当該研究者は電子対測定に関する論文を投稿した。 それに加えて、2022・2023年に取得した世界最高エネルギー13.6TeV陽子+陽子衝突データにおいて、光子・レプトン対両側面の物理解析を主導している。現在まで、全ての測定の基線となる中性π中間子、η中間子、J/ψ中間子信号を測定した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ALICE実験内部査読中の電子対に関する論文を公表する。2023年10月には、核子対あたり重心系エネルギー5.36TeV鉛+鉛衝突データを新たに取得した。そのデータ解析手段を迅速に確立することに集中する。機会学習を用いて電子選別の改善を図り、より高い電子純度、信号対背景事象比で解析できるように尽力する。
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Causes of Carryover |
LHC運転計画変更に伴い、ALICE実験データ取得にも変更が生じたため。2024年度の海外出張費に充てる。
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Research Products
(9 results)