2021 Fiscal Year Research-status Report
常温硬化プラスチックシンチレータの大量生産と形状工夫の両立および大型化技術の開発
Project/Area Number |
21K13937
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 栄輔 長野工業高等専門学校, 電気電子工学科, 助教 (10875579)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プラスチックシンチレータ / 放射線検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来の加速器実験における多チャンネルカロリメータやニュートリノ実験のための機能性プラスチックシンチレータの大型化を目指して、本研究では常温硬化樹脂を用いたプラスチックシンチレータの開発を行ってきており、常温で作製可能という特徴をいかした高機能化について研究してきた。 多チャンネルカロリメータに向けたプラスチックシンチレータの大量生産のために、切削研磨加工が不要な作製方法を検討した。型材として、熱に弱くとも加工が容易な材質の型を用いることで、研磨不要で形状自由度の高い成形を可能にした。従来のプラスチックシンチレータの成形には金属などの型材が使用されているが、本研究の常温硬化プラスチックシンチレータは、高温過程が不要で用途に応じた形状に作製可能であることから、重合反応のための作製コストや成形のための切削コストを低減できるといえる。 一般に、市販の機能性プラスチックシンチレータは高価であるため、既存の研究環境で機能性プラスチックシンチレータを手軽に使用した新しい実験の立ち上げや検出器の試作をすることは難しい場合が多い。これまでの素粒子物理学実験の検出器に使用されてきた機能性添加剤を、本研究の常温硬化プラスチックシンチレータに添加して試作した。常温下の作製においてシンチレータの透明性を保持しながら添加可能な機能性添加剤が見つかり、今後の性能向上に期待できる。 電磁カロリメータに用いるためのストリップ状シンチレータを試作して、読み出しを行った。今後は複数の試作品を用意して個体差を評価しながら、個体差の小さい安定した作製方法を確立していく。また、均一な読み出しのための形状最適化も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
常温硬化プラスチックシンチレータに関する研究のための、作製に必要な装置を揃えて試作を進めており、低コスト性をもつ作製方法の確立化を行った。また、発光量や減衰長などのシンチレータとしての性能評価のための測定機器も揃えながら開発が順調に進んでいる。試作したシンチレータの均一性に関する品質評価方法についても開発が進んでおり、大量生産に向けた研究を進めることができている。機能性物質の添加にも成功しており、試作シンチレータの透明性を保持しながら添加する作製方法の開発が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
常温硬化プラスチックシンチレータの低コスト性を保ちながら、形状自由度の高い成形方法を研究していく。常温硬化プラスチックシンチレータを成形するための型として、安価で加工容易な材質を使用可能であるため、型材や型の製造方法に対する選択肢の幅が広い。大量生産に最適な低コストの作製のための成形方法に関する研究を進める。並行して、電磁カロリメータのためのストリップ状シンチレータを試作して、その形状の最適化について、常温硬化という特徴をいかした研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
令和3年度に購入予定であった測定機器を、大学の研究者から借りて一時使用できたため、本研究に必要な機器であることを確認したうえで、次年度に購入するという予定を立てることができた。このようにすることで、購入間違いを防ぎ、最良の機器を選定できる。
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