2021 Fiscal Year Research-status Report
Improvement for sensitivity of muon rare decay search with robust and high-efficient trigger system in the high radiation environment
Project/Area Number |
21K13941
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 学立 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (20733140)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ミューオン / トリガー / 高放射線環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
茨城県東海村J-PARCにおいて、世界最高強度のミューオンビームを用いたμ稀崩壊探索を行うCOMET実験のためのトリガー機構の開発を行なった。大強度ミューオンビームに起因する高放射線環境においても、高効率で動作が可能なトリガー機構 を構築することで、探索感度の向上が期待できる。 当該年度は、高放射線環境においても動作する電子回路の開発のためのガンマ線照射および中性子照射試験を実施し、実験室で想定される放射線レベルにおいても動作可能な部品の選定や安定性の評価を行なった。中性子などの放射線によって電子回路にビット反転異常等が発生することは以前からよくわかっており、その安定性の評価と異常時の復旧手法の改良を行った。FPGAへのファームウェアダウンロードを新規導入した別な経路から行うことで、ダウンロード速度の向上が50倍以上高速化したことを実際の電子回路で確認した。この速度であれば、データ収集の不感時間が許容できる。ハードウェアの動作実証が完了したため、実機用のダウンロード機構の開発に着手した。 また、トリガー決定を行う電子回路のFPGAに実装するアルゴリズムの改良の検討を進めた。FPGA上での深層学習アルゴリズムによるリアルタイムトリガー決定を実現する手法の評価を開始し、実際に搭載が実現可能であることを示した。ルックアップテーブルを用いた従来のトリガー決定方法とのトリガー効率の詳細な比較を進めている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子回路部品の世界的な欠品により、電子回路の製造に遅れが生じてはいるが、それ以外の開発・研究に関してはおおむね計画通り進行中である。製造の遅れは、現時点で当初予定から半年程度を見込んでおり、実際に実験が開始するまでには十分に間に合うため、許容範囲である。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、トリガー機構の開発を進める。電子回路部品の世界的な欠品により、当該年度に予定していた電子回路の製造は半年ほど遅れているが、必要部品は揃いつつあり、次年度中旬には製造が完了し、評価試験に移行する。また、トリガー機構のトリガー決定アルゴリズムの研究開発は継続中であり、この後もトリガー効率の向上を目指して改良していく。 高放射線環境への対応として、FPGAへのファームウェアダウンロード機構も必須であるため、並行して開発を行い、最終年度までに動作試験および評価試験を完了させる。
|
Causes of Carryover |
世界的な電子回路部品の欠品により、当該年度中に計画していた電子回路の製造ができなかった。また、新型コロナウィルスによる影響で、学会発表等もオンライン開催となり、旅費を使用しなかった。 繰り越した金額で次年度中に電子回路の製造を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)