2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K13944
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
今井 康貴 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (30888342)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / ミューオニウム / 高出力光源 / Yb添加ファイバ増幅器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は水素様純レプトン原子ミューオニウムの1S-2S遷移の精密分光により,ミュー粒子に関する基礎物理定数の決定精度を制限しているミュー粒子質量の不確かさを低減することを目標とする.ミュー粒子は強い相互作用(QCD)の影響を受けないため,その物理定数の精密測定は量子電磁力学(QED)のみならず,電弱スケールの新物理の探索へともつながる.本研究では,ミューオニウム1S-2S遷移分光に用いる244 nm高出力CW励起光源の開発を行った. 244 nmの基本波光源としてYb添加ファイバを用いた光増幅器を開発し,976 nm光源の高出力化に成功した.またYb添加ファイバ光増幅器にはPhotodarkening等による増幅器出力の時間減衰が実用面で問題となるが,Photodarkeniningを起こしにくい素材を母材に添加したYb添加ファイバを使用することで,長時間の安定した出力を達成した.開発したプロトタイプ光源はJ-PARCに搬入し使用を開始している. J-PARCの高強度ミュー粒子ビームラインにおいての実験では,244 nmパルスレーザーを用いたミューオニウムの1S-2S遷移分光実験を行い,1S-2SのF=1-F'=1間遷移を先行研究の約60倍の信号レートで観測する事に成功した.また,F=1-F'=1間遷移よりも遷移レートが低く,先行研究での統計量では観測が困難だった超微細構造間であるF=0-F'=0間遷移を世界で初めて観測した.
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] ミューオニウム1S-2Sパルスレーザー分光 III2023
Author(s)
今井康貴, 足立泰平, 原秀明, 平木貴宏, 池戸豊, 石田勝彦, Saeid Kamal, 上岡修星, 河村成肇, 幸田章宏, 増田孝彦, 三部勉, 宮本祐樹, 嵯峨航, 下村浩一郎, Patrick Strasser, 鈴木一仁, 植竹智, 山基真佑, 山崎高幸, 吉田光宏, 吉村浩司, Ce Zhang
Organizer
日本物理学会第78回年次大会