2021 Fiscal Year Research-status Report
スズ同位体の中性子スキン厚で探る核半径異常増大の起源解明
Project/Area Number |
21K13947
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 聖臣 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (70838143)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 核半径 / 中性子スキン / 魔法数 / 中性子過剰核 / 相互作用断面積 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、魔法数を跨ぐ領域で発現する原子核半径の増大現象の起源を明らかにするべく、二重魔法数核132Snを跨いでスズ同位体の物質半径および中性子スキン厚を測定する。特に中性子スキン厚について、相互作用断面積と荷電変化断面積を組み合わせた測定手法を用いることで、荷電半径データがない超中性子過剰スズ同位体での測定を実現させる。そして、半径増大現象の起源として有力視されている効果を取り込んだ理論計算と実験データの比較から、どのような相互作用がこの新奇メカニズムの原因であ るか突き止めるを目指す。 令和2年度には、以下に上げる3点について研究を進めた。まず、(1)荷電変化断面積から荷電半径を導出する手法の確立させた。これまでの反応モデルに加えて核子剥離反応後の荷電粒子蒸発過程を考慮することで、Fe同位体までの質量数領域における既測定データについて、荷電変化断面積と荷電半径の関係を系統的に説明することができた。これにより、荷電変化断面積測定によって荷電半径を導出、および相互作用断面積測定と組み合わせて中性子スキン厚を超中性子過剰核で導出できる目処がたった。 上記に加えて、本実験に向けて(2)使用する標的装置・検出器・データ収集システムの性能評価テストを量研HIMAC重イオン加速器施設で行った。また、(3)本実験を行う理研RIBF施設にて必要機器の準備・製作を進めたことで、実験を実施するための準備が整った。実験課題はすでに採択済みであるため、令和3年度にマシンタイムを申請して実験を実施する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり、当初の予定通りに令和2年度内で本実験を実施するための準備が整った。装置・検出器・装置据付架台なども含めて全て手配済みであり、来年度マシンタイムが割り当てられればいつでも本実験の実施が可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度下半期に理研RIBF施設で本実験を行うべく、マシンタイムを申請する。令和3年度上半期には、本実験に備えて実験計画の詳細を吟味する。実験のクオリティ向上が見込めそうな点があれば、令和3年度上半期に量研HIMAC重イオン加速器施設にてテストを行う。 実験実施後は得られた実験データを共同研究者と分担してデータ解析を進める。令和4年度内に得られた結果を議論を終えて、会議での発表や学術論文として出版して成果公表することを目指す。
|
Research Products
(10 results)