2021 Fiscal Year Research-status Report
Cosmology at high redshift probed with hyper-large survey data
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21K13953
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
播金 優一 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (90896903)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河形成 / 遠方銀河 / 銀河進化 / すばる望遠鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
すばる望遠鏡の広領域可視光カメラHyper Suprime-Camの探査データを用いて、約400万個の赤方偏移z=2-7銀河からなる大規模遠方銀河サンプルを構築した。得られた遠方銀河サンプルから銀河の紫外光度の明るさごとの個数密度を表す紫外光度関数を描いたところ、銀河とAGNの光度関数2つをうまくブリッジするような結果が得られ、分光データを元にした解析により、紫外光度が-24等級より明るい側ではAGNが、-22等級より暗い側では銀河が支配的であることがわかった。また銀河の光度関数は、明るい側でSchechter関数に比べて個数密度の超過が見られることがわかった。 銀河のクラスタリング強度を調べたところ、赤方偏移z=2-7で、銀河の星形成効率(星形成率とダークマターハローの成長率の比)はダークマターハロー質量には依存するが、赤方偏移には大きく依存しないことがわかった。さらにこの星形成効率が宇宙のどの時代でもほとんど変わらない、という結果は、観測された宇宙の星形成率密度の進化をうまく再現することがわかった。これは宇宙の星形成率密度の宇宙初期からの上昇と現在までの減少がそれぞれ、構造形成によるダークマターハロー個数密度の上昇と宇宙膨張によるダークマターハローの成長率の減少による、ということを示している。さらにこの結果を赤方偏移z>10におけるダークマターハローの個数密度と成長率を使って外挿すると、Madau&Dickinson 2014で予想された以上にz>10の星形成率密度は急激に減少することがわかった。 以上の結果はHarikane et al. (2022a), ApJS, 259, 20として論文にまとめ、出版されている。本研究成果についてはイギリスで行われた研究会での招待講演や、日本天文学会の講演等で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すばる望遠鏡/Hyper Suprime-Camの観測データを使い、予定通り遠方銀河サンプルを構築し、論文にまとめることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
すばる望遠鏡で新たに撮られたデータをもとにさらに大きな遠方銀河サンプルを構築するとともに、2021年末に打ち上げられたJames Webb Space Telescopeのデータも併せて遠方宇宙の研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延により、国内・海外の研究滞在・学会参加が全てオンラインとなったため。次年度以降は海外滞在がすでに複数予定されているため、その旅費として意匠する計画である。
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