2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Interstellar Fullerene Molecules with Infrared Spectroscopy
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21K13969
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
濱野 哲史 国立天文台, ハワイ観測所, 特任研究員 (70756270)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フラーレン / 赤外線高分散分光 / 星間物質 / 星間有機分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、C60に代表される閉殻状の炭素分子種族「フラーレン」に着目し、星間物質中におけるフラーレンの基本的な性質を明らかにすることを目的とし、近赤外線高分散分光器「WINERED」を用いた銀河系内外縁部、近傍銀河における星間フラーレンの観測を行い、その分布やガス雲の物理パラメータとの関係を明らかにするものである。 本年度は、パンデミックの影響で遅れていた、WINEREDをマゼラン望遠鏡に搭載して初めてとなる試験観測を2回行うことができた。第一回目となる7月の観測では悪天候が重なり十分な試験ができなかったが、第二回目の9月の観測ランでは2023年度以降に予定している本観測において重要となる大気分散補正光学系の搭載に向けて必要となるエンジニアリング作業や、観測効率の見積りに必要となる天体を用いた試験用データの取得に成功した。観測後そのデータ解析を進め、今後の装置開発や解析ソフトへのフィードバックを行なった。また、過去に取得した近傍の星間物質について解析を進め、新たに検出した星間分子吸収バンド(DIB)のカタログを論文で発表した(Hamano et al. 2022, ApJS, 262, 2)。また、新たに検出したものも含め、特にフラーレン吸収バンドとの相関関係に着目し、近赤外域のDIB間の強度の相関関係について網羅的に調べた。ガス雲の環境によらず強く相関するDIBのグループを複数見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の望遠鏡を用いる本研究は過去2年間パンデミックによる影響を受けており、当初の計画よりも遅れはあるものの想定の範囲内であり、過去の観測データの解析も順調に進んでいることから全体としてはおおむね順調に進捗している。本年度は、特に重要なマイルストーンとなるラス・カンパナス天文台のマゼラン望遠鏡へのWINEREDの搭載、および天体を用いた試験観測に成功し、その観測データに基づいたハードウェア、解析ソフトの改修を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本研究の成功の鍵となる大気分散補正光学系の製作を進めると同時に、昨年度に得られたデータをもとに観測計画を具体的につめていく。また、これまでに取得してきた太陽近傍のフラーレン吸収バンドやDIBの赤外線スペクトルの解析も進め、多角的にフラーレンの性質を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
マゼラン望遠鏡にて予定していたWINEREDを用いた試験観測が遅延したため、それに伴って大気分散補正光学系の製作も予定よりも遅くなっている。その光学系に使用するプリズムの購入が次年度に先延ばしされたため、次年度使用額が発生した。2023年度にプリズムを購入し、光学系の製作を進める予定である。また、2023年度にも行われる試験観測にて旅費を使用する計画になっている。
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Research Products
(3 results)