2021 Fiscal Year Research-status Report
Experimental study on correlation between isomer abundance rate and temperature in molecular clouds
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21K13982
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
椎名 陽子 立教大学, 理学部, 助教 (70845221)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオン移動度分析 / 星間科学 / 原子分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、低温イオン移動度分析を用いて特定の異性体を分別・蓄積する装置を開発し、異性体イオン-中性ガス反応の反応速度定数の温度依存性を測定し、観測から分子雲の温度を推定するための新たな手法を構築する足がかりとすることである。 現状として、電子衝撃イオン源を用いて複数のイオンの生成とイオン移動度分析装置の透過テストを行った。実験に利用したいイオンについて、十分な生成量が得られるイオン源の設定を明らかにできた。 また、現在のイオン移動度分析装置ではビーム通しがやや不安定という問題が見つかったため、真空チャンバーの蓋をビーム調整中にイオン移動度分析装置の位置を微調整できるよう再設計した。これを設置すればビーム調整が大幅に改善し、イオン移動度分析が効率的に行えるようになる見通しである。再設計した蓋と同時に新規購入した冷凍機も設置し、これまで液体窒素でおこなってきた装置の冷却も効率化する予定である。 またエレクトロスプレーイオン源を作製し、複数のイオン生成に成功した。さらに、エレクトロスプレーイオン源のビームを収束させるためのイオンファネルも作製した。これにより電子衝撃イオン源で生成しづらいペプチドなどの大きな分子も利用できるようになった。 また、第10回イオン移動度研究会で招待講演を行った。イオン移動度分析はエアロゾルなど大きな分子への応用が主だが、その中で低温イオン移動度分析を用いて小さな分子の異性体を分別し、星間科学に応用しようというアプローチの新しさが評価された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定以上にイオン移動度分析装置にイオンビームを通す調整が困難で、なかなか移動度分析が可能なビーム電流が得られなかった。77 ~ 300 Kで利用する装置であるため、温度に依存して金属が膨張・収縮し、ビームを通すアパーチャーの位置が変化するのが一因と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
再設計したチャンバーの蓋と新規購入した冷凍機を設置し、イオン移動度分析の実験の大幅な効率化を行う。その上でイオントラップと組み合わせ、異性体イオンを分別する実験を行い、さらに水素などのガスとの反応を調べる。測定結果を観測結果と比較し、異性体比が反応温度とどのような相関を持つかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で例年よりも冷凍機の納入が遅れ年度末に納品となった。そのため精算処理が次年度となった。 また、イオン移動度分析装置の位置調整をする機構が必要なことがわかり、それに合わせてチャンバー蓋・イオントラップの設計を再考したため、2021年度内に間に合わなかった。これもすでに設計は終わっており、次年度はやくに製作依頼をする予定である。
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