2022 Fiscal Year Research-status Report
惑星大気テラヘルツ波放射過程理解のためのモデル構築及び実験室圧力幅測定
Project/Area Number |
21K13985
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
山田 崇貴 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 研究員 (00852261)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テラヘルツ波 / 放射伝達モデル / 分子分光 / 火星 / 大気 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題にあるテラヘルツ波帯での分光システムの開発を実施し、高感度、高周波数分解能での吸収スペクトルの分子分光測定に成功した。測定スペクトル強度の校正には、ガスセル内が真空状態にあるときの測定値を用いてガス流入時の減衰を見るような手法を試したが、ガス圧力と吸収強度が線形関係であったことから、定在波の影響を除去でき、測定値の校正も非常に簡易にできることを確認した。上記により、330-500GHzでの分光測定が可能なシステムの開発に成功した。 また、野辺山45m電波望遠鏡での火星大気の観測を実施した。COの吸収スペクトルの測定において、解析アルゴリズムでの想定と同程度のスペクトル線形であることが確認できた。火星の視野直径とビーム径が同程度であったため、風の影響などの除去や絶対値補正のアルゴリズム等、実観測データ解析に必要な手法の開発も実施した。 今後は、以下のような研究の展開を予定している。 1)実験室実験での圧力幅測定を実施し、水分子およびその他火星大気における重要な分子種の分光測定を行い、分光パラメータの取得を実施する。2)火星大気での非局所熱平衡状態になる高度を分光パラメータを用いて分子種毎に算出する。3)観測データより混合比及び温度の同時推定を定量的に行い、火星大気のCO等の定量的な鉛直分布の導出を可能にし、中層大気の光化学環境の定量的な推定を行う。また、テラヘルツ波帯でのH2O2などの検出限界などを導出し、メタン生成に関わる分子の検出可能性を議論する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分光測定装置の開発が概ね完了し、計画を早めてデータ取得を可能にしたため。 モデル構築において、観測データとの比較による検証で、観測データの取得を計画より早く完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
以下のような推進方策にて研究を実施する。 1)実験室実験での圧力幅測定の実施。水分子およびその他火星大気における重要な分子種の分光測定を行い、分光パラメータの取得を実施する。 2)火星大気での非局所熱平衡状態になる高度を分子種毎に算出する。 3)観測データより混合比及び温度の同時推定を定量的に行う。
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Causes of Carryover |
装置スペックの決定後に機器の購入を計画していたが、システムの定在波の影響の算出は困難であるため、実機での測定が必須であった。そのため、購入の前にサンプル品や所属機関での機器を代用して測定システムの構築・検討を実施する必要があり購入に遅れが生じた。2022年度で測定検討は完了したため、2023年度では計画的な費用の執行が可能である。
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