2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13994
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Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
田邊 章洋 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 特別研究員 (90830448)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 降雪結晶 / 雪氷防災 / 積雪 / 雪崩 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は数値計算の大規模化・高速化及び露場での降雪粒子の観測を行った。数値計算の大規模化及び高速化は概ね完了し、棒状に粒子を結合させたクラスター粒子を用いた数値計算を行える状況を整えた。現在はクラスター粒子の長さや初期条件を変更した数値堆積実験を行うことで、粉粒体の堆積における粒子形状や初期配向、初期角速度への依存性を調べている。これらの内容は令和4年度の国際研究集会(WCCM-APCOM YOKOHAMA2022)で発表し、論文にまとめる予定である。その後は実際の雪結晶を模した粒子を作成し、それらの数値堆積実験と実際の雪粒子の堆積を比較する。 また、冬季間に降雪粒子が積雪に変化する過程についての野外観測を実施した。具体的には、複数の降雪板(白色の木製の板)を準備し、その上に積もった雪の密度及び深さを、時間をずらして観測することで、下層の雪がその上部に積もった雪の重みで縮んでいく様子(圧密過程)を観測するものである。この観測は、現状の数値計算で考慮することができない圧密過程を、観測によって理解し、モデル化することを目的としている。この観測については複数日行ったものの、うまく観測できた日はわずかであったため、来冬期以降も継続して行う予定である。この観測結果については国内の学会(雪氷学会東北支部会及び雪氷学会)で発表する予定であり、その観測結果は上述の数値堆積実験の結果と組み合わせて、圧密過程を数値計算中に近似的に取り入れるために利用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は数値計算の大規模化及びその高速化が完了したため、数値計算を行う準備が完了し、これらを用いて実在する雪の結晶形状を模した粒子の数値堆積実験を行う環境が整った。また、降雪粒子が積雪へ変化する過程を捉える野外観測についても観測手法を確立したため、令和4年度冬季に多数の観測を実施することができる。μ-CT画像による粒子解析については少し遅れているため、防災科学技術研究所新庄雪氷環境実験室における降雪実験や過去のデータを再解析すること、及び今冬の更なるデータ取得によって対応する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に開発した高速化済み大規模非球形粒子数値堆積実験ソフトを用いて、棒状のクラスター粒子及び実在する雪の結晶形状を模した非球形粒子の堆積実験を行っていく予定である。クラスター粒子については、堆積状態の形状(長さ)依存性や初期配向や角速度などの初期条件依存性について議論し、国際学会誌に投稿を目指す。 雪結晶を模した非球形粒子の形状及びその参照データについては、防災科学技術研究所新庄雪氷環境実験室での降雪実験によって形状の取得及び堆積状態の解析を行う。実験室での結果を数値計算でうまく再現できれば、野外の降雪結晶で同等の計算及び野外観測との比較を行う。 野外観測については同等の観測を今後も継続することでデータを蓄積し、国内雑誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
学会参加及び野外観測における旅費で計上していた予算であるが、コロナ禍における学会のオンライン化や宿泊を伴う外部での観測が困難であったために次年度使用額が生じた。 これらの助成金は論文の校正及び投稿費に使用する予定である。また、令和4年度はオンサイトでの学会・研究会が予定されているため、その旅費に使うことも考えている。
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