2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new probabilistic expression for short-period precipitation forecast based on a large ensemble
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21K13996
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
雨宮 新 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 特別研究員 (60839182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 確率予報 |
Outline of Annual Research Achievements |
高解像度領域数値予報モデルを用いた降水予報の大アンサンブルに適用するためのクラスター解析の手法の開発を進めた。当初の計画であった小課題1「対流性降水の確率的な推移の特徴を明らかにするためのデータ解析」の代わりに、小課題2「アンサンブル予報に基づく確率的な降水短時間予報に適したクラスター解析の設計」を初年度から前倒しして始めた形となったが、これは別の研究課題で行った実験により得られた東京近辺を対象とした1000メンバーのアンサンブル降水予報のデータが利用可能になり、それを活用するためである。 まず、一般的なクラスター解析のさまざまな手法の理論および実装と、気象のアンサンブル予報の後処理としての応用の前例についての文献調査を行った。次に、K-meansおよびガウシアンミクスチャを用いたクラスター解析を実装した。また、降水量に関する変数の時空間的分布の特異性を考慮した非線形的な次元縮約の手法を検討し、Method for Object-Based Diagnostic Evaluation(MODE;Davis et al. 2006)を用いたオブジェクト化に基づく手法を実装した。開発した手法を、顕著な降水事例における1000メンバーのアンサンブル予報に適用し、単純な平均操作による次元縮約を用いた手法と比較しての利点を確認した。 さらに、1000メンバーのアンサンブル予報を用いて、初期値のアンサンブル摂動の予報精度への影響の検証を行った。30分予報における降水量の二乗平均誤差が最小・最大となるメンバーをそれぞれ10個ずつ抽出し、初期値の各変数のコンポジットを計算することで、アンサンブル摂動のうち特に大きなスケールの地上付近の風と温度の場が30分予報に大きく影響することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、クラスター解析の理論と気象学における応用例について文献調査を行った。その後、当初の計画であった小課題1「対流性降水の確率的な推移の特徴を明らかにするためのデータ解析」の代わりに、小課題2「アンサンブル予報に基づく確率的な降水短時間予報に適したクラスター解析の設計」を前倒しして始めた。解析手法を実装し実際の対流性降水のアンサンブル予報のデータに適用することで、クラスター解析や次元縮約の手法に関していくつかの知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発してきた降水予報のクラスター解析の手法をさらに改善する。具体的には、Gaussian Mixtureをベイズ統計に拡張し最適なクラスター数の推定を容易にする。また、様々なタイプの降水事例にMODEを用いた手法を適用し有効性を検証する。 同時に、対流性降水の確率的性質そのものに関する理解を深めるため、小課題1のデータ解析に取り組む。
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Causes of Carryover |
当該年度はストレージおよび書籍の購入のための費用を予定通り物品費から支出した。当該年度の所要額との差分が生じたが3,623円と少額である。翌年度分の助成金と合わせて主に旅費・学会参加費等に使用する計画である。
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