2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new probabilistic expression for short-period precipitation forecast based on a large ensemble
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21K13996
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
雨宮 新 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 特別研究員 (60839182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | データ同化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は小課題4のクラスター解析と関連づけたアンサンブルデータ同化手法の開発を進めた。対流性降水のような現象では系の時間発展における非線形性により背景誤差分布がガウス分布と大きく異なるため、ガウス分布を前提としたカルマンフィルタの理論に基づくデータ同化手法が非効率となることがありうる。そこで、局所数値天気予報モデルSCALE-RMにおいて既存の局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)の代わりに、系の背景誤差分布がガウス分布と大きく異なる場合に有力となる局所粒子フィルタ(LPF)をLETKFを拡張する形で実装した。LPFのリサンプリングにおけるランダムな粒子の選択に伴う空間的な非整合の問題に対応するため、同化に用いる変換行列を全格子点で計算する代わりに、空間的に粗視化した格子点で計算し補間する手法を導入した。また、LPFとLETKFを併用することで背景誤差の混合ガウス分布を想定した同化手法も可能にした。傾圧不安定を模した理想実験において、動作の確認及び計算性能の比較を行い、比較的小さなメンバー数においてもLPFが安定して動作し、LETKFに比べて性能で大きく下回らないことを確認した。また、アンサンブル数に対する計算時間の依存性を比較し、アンサンブル数が大きくなると理論通りLPFがLETKFより計算効率で上回ることを確かめた。以上により、大アンサンブルを用いて対流性降水の理想実験を行う準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小課題4のデータ同化に関する課題において、非ガウス的な確率分布に対応したデータ同化手法の開発に関しては概ね当初の計画通り遂行したが、主目的である対流スケールの降水現象における性能評価は未着手である。また、当初の計画とは異なり小課題2、 4の順序で研究を行ってきたが、小課題1の実際の観測データに基づいた系の確率的時間発展の性質の調査が残っている。今後、適切な数値実験を計画して研究を深化させるためには、この小課題1で得られる基礎的な知見が必要不可欠である。
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Strategy for Future Research Activity |
小課題4のデータ同化手法の開発に関する成果を一つの論文にまとめて報告する。その上で、小課題1の対流性降水現象の確率的な時間発展の特徴づけに取り組む。長期間の観測データを用いて、目的とする現象自体の性質について理解を深め、それに基づき今後の数値モデルや解析手法を用いた数値実験の計画を再構築する。
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Causes of Carryover |
2022年度は支払請求額に比べ実際の支出額が小さく、大幅な次年度使用額が生じた。主な理由は新型コロナウイルスの影響で国際・国内学会への現地参加の機会が制限され、旅費支出が当初の想定より大幅に少なくなったことと、研究の進行が想定より遅れたため年度内の論文投稿が行われなかったことである。 次年度使用額のうち、論文投稿料にあたる部分は投稿時期が翌年度となる当該論文のために充てる。他は翌年度分の助成金と合わせて、国際・国内学会への参加の機会を増やし、主に旅費・参加費として用いる。
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