2023 Fiscal Year Annual Research Report
マール噴火と超巨大カルデラ噴火の噴火タイムスケールの再検討:古地磁気学的制約
Project/Area Number |
21K14004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 裕紀 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (50825875)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 古地磁気方位 / マール噴火 / カルデラ噴火 / テフラリング / 火砕流堆積物 / タイムスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではマール噴火と超巨大カルデラ噴火の噴火タイムスケールを定量的に評価するために、堆積物の熱残留磁化を測定し、古地磁気方位の比較を行った。マール噴火については御鉢平火山の間宮岳テフラリングを、超巨大カルデラ噴火については阿蘇4火砕流堆積物を研究対象とした。間宮岳テフラリングについて層序の全体を網羅するように39層準から古地磁気方位を測定した結果、古地磁気方位は層準間で系統的に変化しており、(1) 間宮岳の活動が5つの噴火エピソードからなること、(2) 各噴火エピソードは数100年以上の間隙を挟むこと、(3) 噴火全体が少なくとも1000年以上にまたがっていたことが明らかになった。阿蘇4火砕流堆積物について、カルデラ中心から20~80km離れた11地点で古地磁気方位を測定した。11地点の試料は全て、地点内でよく揃った残留磁化方位を示し、火砕流堆積物が溶結・非溶結に関わらず約600度以上の高温で堆積したことが明らかになった。残留磁化の地点平均方位は9地点のものが偏角=350~359度、伏角=38~48度の範囲に収まり、おおむね似た方向を示した。これらの方位は伏角が比較的浅いもの(伏角=38~39度)と、伏角が比較的深いもの(伏角=42~48度)に大別でき、阿蘇4火砕流堆積物が2回の噴火で形成された可能性を示しており、先行研究と整合的な結果が得られた。本研究の結果から、古地磁気方位を用いれば地質学的には判別困難な時間間隙を堆積物内に見出すことが可能であり、古地磁気方位の利用が噴火タイムスケールを評価する上で重要であることが強調された。
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