2022 Fiscal Year Research-status Report
Evolution and rheology of oceanic uppermost mantle from seismic velocity modeling
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21K14009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹尾 明子 東京大学, 地震研究所, 助教 (90756933)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プレートテクトニクス / 海底地震計 |
Outline of Annual Research Achievements |
中央海嶺で作られた海洋プレートの厚さが上から冷やされることによって海洋定年代と共に成長する。しかし、単純なプレート成長モデルでは水深や地殻熱流量の海洋定年代との相関を定量的に説明することができない。本研究では、プレート成長モデルの再構築を行うため、海洋マントル最上部の地震S波速度構造推定を目標としている。その際に用いる地震表面波の一部は複数モードが同時に到達するため分離が困難だという問題があった。 これまでの研究で、太平洋最古の海域でOldest1プロジェクトにより得られた観測記録を通して、表面波複数モードの位相速度の測定と構造推定を進めてきた。本年度は、この地震波速度構造を太平洋の他の海域の結果と比較し検討した。同一の半無限冷却モデルやプレート冷却モデルで説明困難であること、減衰パラメータの仮定によって結果の解釈が変わってくること、プレート運動を記録すると言われている地震波速度異方性の強さが深さや海域によって大きく異なることを明らかにし、論文を投稿した。将来に向けては、新たな冷却モデルの必要性、部分溶融温度付近における非弾性減衰の理解の必要性、プレート生成から成熟までの過程を内包した3次元的な地震波速度異方性シミュレーション研究と協調する必要性などを再認識するに至った。 また、高解像度の構造推定に有用な光ファイバセンシングデータについて地震波干渉法を用いて解析する研究にも携わり、表面波の様々なモードを解析する手法開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年5月から2023年3月まで、産休・育休を取得したため。
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Strategy for Future Research Activity |
複数モードが重なって解析しにくい表面波の位相速度について、数値計算解を組み合わせることで特定の海域においては1%程度の精度で推定する目処が立っている。今後はより理論的な検討を進めて対象海域を広げながら測定精度の向上も進め、海洋プレートやその下のアセノスフェアの地震波速度を推定、温度構造の理解につなげる。
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Causes of Carryover |
産休・育休により研究が中断したため。次年度は並列計算機を購入するほか、論文執筆費用や学会参加費などに充てる。
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