2022 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ酸塩ガラスの超高圧その場弾性波速度測定から導く最下部マントルのメルトの安定性
Project/Area Number |
21K14013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
増野 いづみ 岡山大学, 惑星物質研究所, 特任助教 (50822102)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超高圧実験 / 下部マントル / ダイヤモンドアンビルセル / ケイ酸塩ガラス / 弾性波速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケイ酸塩ガラスは高温下におけるケイ酸塩メルトのアナログ物質であり、ケイ酸塩ガラスの物性を知ることは、地球深部でのメルトの挙動の解明につながる。本研究では地球内部の代表的なケイ酸塩メルトの組成である3価鉄を含むエンスタタイトガラスの超高圧下での弾性波速度測定を行った。 最終年度までに、ダイヤモンドアンビルセル超高圧発生装置を用いた放射光非弾性X線散乱法(IXS)により、72 GPaまでの3価鉄を含むエンスタタイトガラスの弾性波速度測定を行うことができた。放射光IXS実験は兵庫県SPring-8, BL43LXU(理研量子ナノダイナミクスビームライン)にて行った。これまでIXSを用いたガラスの弾性波速度測定は、SiO2のアナログ物質であるGeO2ガラスを対象とし、マントル遷移層に相当する25 GPaまでの圧力にとどまっていたが(Cunsolo et al., 2015)、本研究では使用するガスケットの検討(低圧ではレニウムガスケット、高圧ではベリリウムガスケットを使用)や分解能関数の見直しを行うことで、現在までに先行研究の実験圧力を大きく超える72 GPaまで、非常に良い精度での3価鉄を含むエンスタタイトガラスの音速測定に成功している。特に常圧~低圧にかけては、P波速度(VP)だけではなくS波速度(VS)に由来するピークも精度よく分離することができた。72 GPaまでの圧力範囲では、ガラスの音速VPは圧力に対して単調に増加していた。今後得られた音速データから最下部マントルにおけるメルトの密度・重力的安定性に関する議論を行う予定である。
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Research Products
(6 results)