2023 Fiscal Year Annual Research Report
イシサンゴの概日リズムから読み解く成長線形成メカニズム
Project/Area Number |
21K14032
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
千徳 明日香 琉球大学, 理学部, 助教 (00722802)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 無藻性イシサンゴ / 概日リズム / ライブイメージング / バイオミネラリゼーション / 炭酸カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,無藻性単体イシサンゴのセンスガイ科Flabellum (Ulocyathus) deludens(1個体),F. (U.) japonicum(5個体),F. (F.) magnificum(8個体)の軟体部の挙動をモニタリングし,生体の概日リズムを明らかにするため,飼育実験を行った.実験は12時間毎にライトを点灯した状態とライトを点灯しない状態(LD)と,ライトを点灯しない状態(DD)の環境を人工的に作り出した.撮影のため,赤外線ライトを常時点灯した.赤外線を撮影できるようにしたカメラを用いて10分間隔で写真を撮影・計測,ActogramJを用いてカイ2条ピリオイドグラム解析を行った.さらに,骨格部分の実験では,蛍光物質(カルセイン)とストロンチウムを海水に溶解し,この海水でサンゴを1日間飼育した.石灰化マーカーを取り込ませた骨格を蛍光実体顕微鏡やSEM・EDSを用いて観察を行った. 軟体部の挙動をカイ2条ピリオイドグラム解析した結果,LD・DDのいずれの個体でも,おおよそ24時間の概日リズムが見られた.骨格成長様式の分析においては,カルセイン海水で1日間飼育した個体の骨格表面では軟体部がついている骨格部分に沿って帯状に蛍光がみられ,隔壁の断面では骨格壁側に近い内側が局所的に蛍光し,側面では層状に発光しており,一日単位での石灰化部位が確認された.さらに,SEM‐EDSによる観察結果,ストロンチウムが骨格全体にほぼ一様に取り込まれていることが確認された. 蛍光実体顕微鏡での観察結果では,隔壁は同心円状に弧を描くように成長しているがそれらは均一ではなく,スポット的に起こっているなど,深海性サンゴの一日単位の具体的な石灰化部位が明らかとなった.今回の軟体部の挙動実験で認められた内因性の自律振動が,骨格形成の周期性に直接的に関与している可能性がある.
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[Book] 古生物学の百科事典2023
Author(s)
日本古生物学会 編 西 弘嗣 編集委員長
Total Pages
800
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30758-8