2023 Fiscal Year Research-status Report
超海洋パンサラッサ海における複合化石生層序と安定同位体比層序
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21K14036
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Research Institution | Administrative Agency for Osaka City Museums |
Principal Investigator |
前川 匠 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 学芸員 (20827331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コノドント / 微化石 / 前期三畳紀 / ペルム紀ー三畳紀境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
6月と9月にそれぞれ、アメリカ合衆国ネバダ州とユタ州において、下部三畳系の地層の地質調査と岩石試料の採集を行った。ネバダ州では、本研究課題以前から実施していたエルコ郡における調査を再開することができた。ユタ州では、新たにソルトレイク郡において調査を実施した。採集してきた岩石試料は、大阪市立自然史博物館において、岩石切片や薄片の作成、微化石の抽出を進めている。一部の成果は、学術論文の原稿としてまとめており、学術誌ちらも岩石から微化石の抽出を行っている。 宮崎県高千穂町での調査結果は、3月に鹿児島県で開催された日本地質学会西日本支部でポスター発表した。こちらも次年度に追加の調査を行って、全体の結果をまとめる予定である。 本研究の調査地ではないが、ベトナム北部から産出したコノドント化石についての研究結果が国立科学博物館研究報告C類(地質学・古生物学)に学術論文として掲載された。こちらは本研究の調査地域と同時代の化石記録であるため、本研究をまとめる際に比較資料として重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査を再開することができたため、昨年度までの遅れを取り戻すことができた。また、新たに実施したユタ州での調査地から得られた資料からも微化石が得られたため、日本やネバダ州の結果と比較可能なデータになると期待される。国内においては、宮崎県高千穂町の調査結果がおおよそまとまってきた。京都府と滋賀県の調査では、ペルム紀ー三畳紀境界を含む露頭を確認し、微化石の抽出を試みている。こうしたことから、複数の調査地間を比較して古生物学的な考察を行うための資料が得られる見通しが立ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は本研究課題の最終年となるため、各調査地においてコノドント化石やアンモノイド化石をもちいて生層序区分を行い、調査地間を正確に対比することを試みる予定である。その上で、調査地間における古生物学や古生物地理学上の際を見出し、その背景や原因について考察を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
海外調査を再開できたが、予定していた回数を1年間で行うことは業務との兼ね合いで難しかったため、次年度に繰り越すことになった。また、昨今の円安傾向を鑑み、次年度に海外調査を実施するために基金に余裕を持たせる必要もあると考えた。 次年度では、国内外の調査や学会参加、微化石の抽出のための消耗品の購入などが必要になるため、残額を見つつ、必要な活動を行う予定である。
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