2022 Fiscal Year Annual Research Report
相互架橋網目ゲルのデジタルファブリケーションによるセルフクリーニング表面の創製
Project/Area Number |
21K14040
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡邉 洋輔 山形大学, 有機材料システムフロンティアセンター, 助教 (30891527)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 相互架橋網目ゲル / デジタルファブリケーション / レーザー加工 / 4Dプリンティング / 接触角 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,①相互架橋網目(Inter Crosslinking Network : ICN)ゲルの表面状態を明らかにし,②特異的な油滴除去性のメカニズムと微細構造化プロセスを組み合わせて,動的な濡れ性が制御可能な,スマートセルフクリーニング表面の創製と,③その応用技術の開発,を目指した. ①透明体で,周囲の環境によって体積を変化させるICNゲルは,表面の構造の観察が難しいが,レーザー顕微鏡による観察の適用可能性を模索し,摩擦試験と油滴に対する接触角による評価を進めた.合成の際にゲル溶液に接している基板を選択することで,表面構造や摩擦係数,接触角が変化することを見出した. ②構造設計が容易な三次元プリンタやレーザー加工機を使用し,ICNゲルの造形手法を確立した.三次元プリンタの場合では,積層に伴う痕とみられる周期構造が観察された.レーザー加工機の場合,任意の溝のピッチと深さを有した表面を創製可能であることを示した.これらのミリスケールの周期構造では,動的な濡れ性は大きく変化しなかったものの,高分子・金属基板に対する摩擦係数や吸着力に影響を及ぼすことが判明した. ③本技術に立脚し, ICNゲルのポンプへの適用可能性や,3D造形後の膨潤に伴う変形について検証を行った.プログレッシブキャビティーポンプ内部のステータ部分を三次元ゲルプリンタによって造形し,ポンプとしての性能を評価した.3D造形したICNゲルポンプは,流体の移送効率や流体内の粒子損傷具合に課題が残るものの,低摩擦ICNゲル表面による回転トルクの低下が認められ,環境低負荷型のポンプへの適用可能性を示した.また,ICNゲル造形時に光量の勾配を意図的に仕込むと,造形後に水に浸漬する(膨潤)に伴って変形することを見出した.変形量は光量や光開始剤の添加量に依存し,造形後にICNゲルの曲面表面を創製可能であることを示した.
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Research Products
(18 results)