2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Functional Lattice Structure for Energy Absorption of Underwater Pressure Waves
Project/Area Number |
21K14048
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小島 朋久 中央大学, 理工学部, 助教 (70802734)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メカニカルメタマテリアル / 衝撃吸収 / ラティス構造 / 波動伝播 / 圧力波 / 応力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラントで配管内爆発事故が発生した最悪の事態における被害を低減するためには,発生する圧力波動のエネルギ吸収機構が極めて重要である.本研究は音響メタマテリアルが持つ構造の振動や波の干渉を利用した圧力波の調質・減衰機構の設計原理を抽出し,ラティス構造に適用することで,ラティス構造の変形によるエネルギ吸収と音響メタマテリアルの原理を適用したエネルギ減衰/散逸の2つの機構を併せ持つ『機能性ラティス構造』の設計学理を構築することを目的としている. 本年度は以下の点について検討した. 1.応力波の伝播を制御するストップバンド型メタマテリアル設計のために,ユニットセル構造の弾性波伝播特性を評価するための数値解析モデルを構築した.構築したモデルを使用して圧力波による負荷が作用した際のBCCラティス構造ユニットセル内部の弾性波伝播応答を確認し,構造内部にて波の反射と干渉が起こることにより透過応力波の振幅が減少することを確認した. 2.円管内に封入した水へ衝撃負荷を加えることにより水中爆発を模した水中圧力波を生成し,一次元的に測定対象へ伝播させる実験装置を設計・作製した.圧縮空気を利用して加速した打撃棒速度を測定し,ラティス構造を圧壊させるだけの十分な負荷荷重が得られることを確認した. 3.ラティス構造の造形に使用する光造形式3Dプリンタ用樹脂材料を使用して積層造形した試験片に対して準静的引張試験および衝撃引張試験を実施し,負荷速度に依存した変形特性パラメータを取得した.積層方向に起因する異方性は小さいことが確認された. 4.ラティス構造の変形によるエネルギ吸収を評価するために有限要素解析を実施し,いくつかのユニットセルから成るラティス構造の圧縮特性および圧縮変形による単位質量当たりのエネルギ吸収量を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では本年度は音響メタマテリアルによる圧力波のエネルギ吸収/散逸特性を得るための圧力波動伝播実験装置の作製と実験実施に重点を置いて研究を進める予定であり,次年度に数値解析を実施する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の拡大により計画の変更を余儀なくされた.そのため実験面においては実験装置の設計および作製を今年度の目標とし,解析面においてはラティス構造内部を伝播する波動伝播応答を評価するための数値解析モデルの構築と数値解析の実施を目標として研究を進め,それぞれの目標を達成した.実験面においては作製した実験装置によって生成される水中圧力波により,ラティス構造を圧壊させるだけの十分な負荷荷重が得られることを確認した.解析面においてはストップバンド型メタマテリアル設計のために弾性波伝播特性を評価するための数値解析モデルの構築が完了し,ラティス構造ユニットセル内部にて波の反射と干渉が起こることにより透過応力波の振幅が減少することを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は作成した実験装置を使用して単純な音響メタマテリアルやラティス構造に水中圧力波を伝播させる実験を行い,それらによる圧力波のエネルギ吸収/散逸特性を得る.また構築した解析モデルを用いてさらに数値解析を実施し,ユニットセル内部を伝播する応力波がどのように集合体の中で相互作用しながら伝播し,エネルギ吸収/散逸につながるのか調査する.さらに等価回路を用いて音響メタマテリアル内部の波動伝播に一次元波動伝播理論を適用し理論解析を行う.
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Causes of Carryover |
当初はラティス構造を造形するために所属機関にて所有している3Dプリンタを使用する計画であったが,造形方式によって生じる制限により一定以下の大きさのユニットセルを有するラティス構造の造形に困難が生じた.そのため購入品の計画を見直し,造形方式の異なる3Dプリンタを新たに購入することにしたが,本年度の残予算だけでは足りず次年度に繰越して支出することにしたため次年度使用額が生じた.
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