2021 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール転写構造評価のための入射領域制御を利用した光学応答解析手法の開発
Project/Area Number |
21K14054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門屋 祥太郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (60880234)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | レーザ加工 / インプロセス計測 / 微細周期構造 / 干渉計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
微細な表面構造によって発現する反射特性や濡れ性などの様々な特性は,微細加工・微細計測,バイオなど様々な分野で活用されている.特に,マイクロメートルスケール,サブマイクロメートルスケールという二つの異なるサイズ領域の微細構造を併せ持つマルチスケール構造は,その複雑な形状によってより高度な機能を実現できると期待されている.本研究では,超短パルスレーザ加工を代表とする微細加工技術によって作製されるマルチスケール構造について,その形状などを光学計測法によってインプロセスに評価する方法の開発を目指している.本年度は,以下の項目について研究を行った. (1)数値シミュレーションによるマルチスケール構造からの光学応答解析:マルチスケール構造を対象としてRCWA法や光学スカラー解析などによって光学応答を評価した.マルチスケール構造のなかでマイクロ構造,サブミクロン構造それぞれの構造の周期や高さの変動と計測波長の関係から,光学応答の位相から形状を復元できる線形位相応答の領域,表面で解説した光が構造自体で遮られるなどして位相応答から直接的に全領域での形状復元が達成されない領域,回折限界によりサブミクロン構造の情報を取得できない領域などに分類されることが確認された. (2)(1)の結果に基づくマルチスケール構造形状評価法の提案:線形位相応答ではないものの部分的に形状の情報を持つ位相応答が取得できるような構造,計測波長の領域において,計測光の入射角度走査と長波長計測によるマイクロ構造形状の抽出を組み合わせたマルチスケール構造評価法の提案を行った.これは,光学応答の位相から復元される形状が,全域的には元の試料形状とは一致しないものの,部分的に形状を反映していることを利用して,長波長計測による形状復元結果を基準に,形状を正確に反映している部分のみを抽出して組み合わせることで形状評価を行う手法である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,(1)数値シミュレーションによるマルチスケール構造の光学応答解析,(2)光学応答に基づく形状復元手法の提案を行った.(1)については,マルチスケール構造特有の光学応答を明らかにし,位相応答から得られる形状復元結果の関係から,計測波長に対するサイズと形状評価特性を確認した.またそれらの結果に基づいて行った(2)から,本研究で主な対象とする超短パルスレーザによって加工される微細構造の評価が可能となるような,入射角度走査,長波長計測を組み合わせた手法の基本構造を構築した.以上,当該年度の目標を概ね達成しており,順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
干渉計測による光学応答取得と並行して位相回復法による光学応答取得を実施する光学実験装置を構築し,本研究で提案する手法の実験的な検討を実施していく予定である.また本年度実施した数値シミュレーションでは,対象とする構造が正弦波状で模式化された単純なマルチスケール構造であったことを踏まえて,構造の形状,材質等の影響を加味したより詳細な光学応答解析を行い,マルチスケール構造の光学応答の明確化を目指す.
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Research Products
(1 results)