2023 Fiscal Year Annual Research Report
耐食性と疲労特性を両立させる低合金鋼の新たな加工方法の探求
Project/Area Number |
21K14059
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井尻 政孝 東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (10840374)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャビテーション / 鉄鋼 / 赤錆 / 疲労特性 / 硬度 / 耐食性 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川水や水道水など,比較的きれいな水の中で鋼材はさびが発生しやすい.この原因は水中に溶解する酸素および炭素ガスなどが要因である.さびの発生の防止には,水または酸素を鋼材面に触れないようにする必要があるため,鋼材表面に亜鉛メッキ,無電解ニッケルメッキ,硬質クロムメッキが必要である.しかし,メッキ処理後は廃液が生じるため,環境に負荷がかかる.一方で直接的な被覆処理と比較して,直接さびを防止するわけではないが被覆処理による防錆期間の延長につながる処理方法がある.これは防錆処理にかかる前処理になる.切削・研削直後の金属部品には,表面に塩化物や硫酸塩など,種々の腐食因子が残存している.この状態で次行程の防錆処理を実施した場合,表面に存在する腐食因子により期待した期間,さびの発生を防ぐことは困難であり,多くの問題によってさびの発生が誘発する.したがって,表面に残存している腐食因子を適切な前処理法(洗浄法)で除去する必要があり,これにより初めて期待すべき期間以上のさび発生防止が可能となる. 本研究は洗浄で使用されるキャビテーションを利用して,次亜塩素ナトリウム液を加えた機能性キャビテーション(MC-MFC)とMFCで鋼表面の耐食性の改善について検討した.MC-MFC処理後の表面はMFCと比較して,赤錆が形成されない.また,MFCとMC-MFC処理後の表面で形成される化合物はα-FeOOHとβ-FeOOHであり,MC-MFC処理の場合,赤錆の発生が少ないことから,β-FeOOHが比較的多いと推定された.防錆性を確認するために行った複合サイクル試験後では,未処理材とMC-MFC処理後で赤と黒の領域が形成された.MC-MFC処理後は未処理材より,GD-OES分析より,深さ方向にFeの元素が少ないことから,さびの抑制に有効であった.
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