2021 Fiscal Year Research-status Report
ダイヤモンド半導体の実現を目指した乾式真空研磨法の開発
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21K14062
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
坂本 武司 有明工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (60452934)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 半導体素材 / ダイヤモンド / 精密研磨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,半導体用ダイヤモンド基板に対する新しい研磨法(真空研磨法)を開発し,半導体として利用可能な超平滑研磨面を単結晶ダイヤモンド基板上に獲得することである.ダイヤモンドは熱伝導率,絶縁破壊電解などの物性値が物質中最も優れており,究極の半導体材料である.ダイヤモンド半導体は現在主流のSi半導体の数十倍から数百倍の性能を有しており,現在次世代半導体材料とされているSiCやGaNをも凌駕する.申請者は新たなダイヤモンド研磨法として真空研磨法を提案している.合成石英(酸化セラミックス)を工具として,真空雰囲気中で乾式研磨を行う研磨法である.大気中では研磨が進行しない(研磨速度が遅い,または研磨圧力が小さい)研磨条件であっても,真空雰囲気中では,単結晶ダイヤモンドが発光しながら研磨されることを申請者は発見した.この現象をダイヤモンド基板の研磨に応用することで,ダイヤモンド半導体の実用化へのブレークスルー技術となることを目指している.初年度である令和3年度から着手する予定だった課題は,(1)研磨装置の改良,(2)研磨特性の調査(研磨レートの計測),(3)メカニズムの解明(研磨粉の分析) である.そのうち,(1)研磨装置の改良は適宜行っている.(2)研磨特性の調査(研磨レートの計測)は既に実施中であり,異なる条件で多数のデータが得られている.(3)メカニズムの解明(研磨粉の分析)も本校のSEM-EDXで分析を実施し,研磨粉は炭素Cであることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画と比較し,おおむね順調に進展していると考えている.次年度以降に実施する予定の研磨中の発光を分析するための装置開発は,半導体不足などの理由により,CCDカメラの選定および購入が遅れているが,粛々と実験を実施できていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,遅れているCCDカメラの選定,および研磨機への組み込みを行い,発光メカニズムの解明を進める.次年度以降に取り組む研磨特性(到達面粗さの追求)に向けて,引き続き装置の改良と研磨条件の見極めを行っていく予定である.また,コロナ禍の影響で学会での発表を見合わせているが,次年度からは定期的に結果の公表を行う予定である.
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Causes of Carryover |
初年度に発光現象を観察,分析するためのCCDカメラシステムを購入する予定であったが,半導体不足で入荷の見通しが立たないということだったので,購入を見送った.次年度以降発注を行う予定である.
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