2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high nitrogen-containing and high-hardness ta-CNx film deposition method by directly injecting gas to the target
Project/Area Number |
21K14066
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
李 義永 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (80882977)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ta-CNx / FCVA / Duct |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代自動車等において超低摩擦と耐摩耗性を両立する硬質膜部品が求められている.期待される硬質膜として硬質なテトラヘドラルDLC (ta-C)に窒素を30at%程度まで含有するta-CNx膜がある.2019年,申請者らは、カーボンをフィルタードアークデポジッション法で成膜しながら,窒素イオンを別のイオンガンで照射するIBA-FCVA法(Ion Beam Assisted Filtered Cathodic Vacuum Arc)で10at%の窒素を含有しながら30 GPa以上の高硬度を得る成膜に成功した.しかし,この装置では,成膜速度が低い事と炭素イオンビーム照射の構造的な特性により成膜範囲が50mmのビーム径に対応し狭い事,そしてta-CNx成膜内の最大窒素含有量が10 at.%に飽和する事の技術的な限界が実験的に明らかになってきた. 本研究では,FCVA成膜装置のフィルター部の先端に位置する特殊ダクトフランジでUltra-Torrを利用してガス管を締結し,ガス管とターゲットの距離を自由に調節できるように製作した.特殊なフランジを用いて、アークプラズマが発生する箇所においてカーボンターゲットだけでなく、窒素ガスも導入することで、高エネルギーの炭素イオンと窒素イオンを同時に発生することが可能なった.成膜条件は高いイオン化率と高いエネルギーを用いるため80Aを印加し、基盤バイアスは-100Vに設定された。この成膜手法でアークプラズマの安定的な放電維持に役立つとともに、ta-CNx膜の窒素含有は16 at.%まで高く含有することができた。
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