2021 Fiscal Year Research-status Report
「車輪機構学」の確立に向けた未知機構の探究と統一的評価法の構築
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21K14067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺川 達郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (10847982)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 車輪 / 機構学 / 解析と総合 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代モビリティ社会の実現に向け、様々な形式の移動装置が求められている。そこで本研究では、移動装置の中で最も重要な機構である車輪機構に注目し、未知機構の探究と統一的評価法の構築に取り組んでいる。未知機構の探究では、車輪機構を構造や動作形態に基づき分類し、可能な組合せを網羅的に探索するとともに、機構の成立条件や動作特性を数理的に追求する。統一的評価法の構築では、あらゆる車輪機構に共通する数理モデルを構築し、どの車輪機構がどのように優れるか定量的に比較する方法を創出する。 本年度には、スクリュー理論を用いた機構総合・解析法について研究を行った。移動装置をパラレルリンク機構として扱えることに着想を得て、パラレルリンク機構の総合と解析に利用されるスクリュー理論を車輪機構に導入することを試みた。具体的には、車輪を移動装置本体と地面とをつなぐ対偶と見なして相当する回転対偶と滑り対偶の組合せに変換し、各種の車輪機構において生じる運動と拘束をスクリューを用いて表現できることを示した。その結果、車輪機構は2種類に大別できることを見出し、それらの組合せによって成立する移動装置について議論した。また、スクリュー理論を用いて運動学関係式を導出する方法を示し、車輪の種類と配置による移動装置の動作特性への影響を調査した。スクリュー理論を用いることにより、従来は数式ベースで扱う必要があった移動装置の数理モデルを幾何的関係と直接的に結び付けて検討することが可能となり、移動装置の総合と解析における新たな視座を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画では、本年度に車輪機構の構成要素に着目してより基礎的な観点から車輪機構の総合法について研究を行う予定であった。しかし、新たな着想を得たことにより、計画を変更してスクリュー理論を導入した機構総合・解析法を研究するに至った。これにより新たな成果を得られたことに加え、本成果を下地とすることで今後効率的に研究を進めることができると考えられるため、本申請研究は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果によって、当初計画では空白となっていた車輪機構の総合法と解析法を効果的に連関させる理論についての示唆が得られた。今後は、この成果を骨子としつつ、当初計画に従い抽象的・網羅的な機構総合の理論構築の研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況に記述した通り、研究遂行中に新たな着想を得たことで、当初計画から変更を加えて研究を実施した。この影響により、当初計画から直接経費の支出時期に変更が生じたことから、次年度使用額が生じた。今後は当初計画に従って研究を進める予定であり、助成金についても当初計画の通りに使用する計画である。
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Research Products
(1 results)