2021 Fiscal Year Research-status Report
超音波フェーズドアレイによる気泡群への音波照射法の研究
Project/Area Number |
21K14073
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉田 直広 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80852318)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 気泡群 / 気泡振動 / 超音波 / トランスデューサアレイ / 音響減衰計測 / 超音波造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題(2年計画)では、血管の造影超音波検査に用いられる気泡群に対する音波照射法の検討を行う。気泡群は、数密度および分布形状によって、固有振動数および振動減衰が変化する。このため、照射音波の周波数に加えて、照射音波の音圧および振動位相の空間分布によって、振動応答が変化すると予想される。そこで、超音波トランスデューサアレイ中の各素子の駆動位相を変化させ、気泡群が分布する領域に振動位相の空間パターンを形成する。このパターニングにより、ある一つの気泡群において、複数の振動応答の励振を試みる。気泡群を透過した音波の音響減衰を計測することにより、それぞれのパターニングに対して、気泡群の振動強度を推定し、照射音波の空間パターニングの効果を実証する。さらに、気泡力学モデルに基づく固有値解析により、気泡群の数密度と分布形状に対して、固有振動数と減衰を求め、実験結果との比較を行う。これにより、照射音波のパターニングを用いた、気泡群の振動制御の可能性を検討する。 令和3年度(1年目)の研究では、リニア型の超音波トランスデューサアレイの駆動位相操作を実装し、ハイドロホンを用いた音圧計測により、照射音波の音圧振幅と位相のパターニングを実験的に確認した。さらに、気泡群を透過する音波の減衰を計測し、気泡群の振動による音響エネルギーの損失を評価した。透過減衰が大きいほど、気泡振動によって散乱・消散する音響エネルギーが大きくなることを利用して、気泡群振動に対する照射音波パターニングの効果を評価した。さらに、気泡群の固有値解析を行うための力学モデルを定式化し、気泡群の数密度、形状および気泡径分布に対して、固有振動数および減衰を求める解析手法を構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(令和3年度)の研究により、本研究課題の基盤技術である超音波トランスデューサアレイの駆動位相操作、原理検証に必要な実験装置の基本構造が整った。加えて、実験と比較するための気泡振動のシミュレーションモデルを構築した。これにより、次年度では、音波照射法のパラメータスタディが可能であり、おおむね順調に研究が進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度(2年計画の2年目)では、パターニングした音波照射下において、気泡群の振動強度と減衰の同時評価を行う。すなわち、1年目に実施した照射音波の透過減衰の計測に加え、気泡群の音響散乱を計測する。これにより、トランスデューサアレイの位相操作モードをパラメータとして、パターニングした照射音波に対する気泡群の振動特性と気泡群に内在する減衰特性を評価する。
|
Causes of Carryover |
令和3年度に外注製作を予定していた超音波トランスデューサの仕様変更を行い、未使用額が生じた。このため、トランスデューサの改良を次年度に行うこととし、未使用額をその経費に充てる。
|