2021 Fiscal Year Research-status Report
Surge margin improvement in axial compressor by combined-type casing treatment
Project/Area Number |
21K14078
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
金子 雅直 東京電機大学, 理工学部, 助教 (10804536)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 軸流圧縮機 / 作動範囲 / ケーシングトリートメント / 実験 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、低速軸流圧縮機を対象に実験と数値解析を用いて、周方向溝型と自己再循環型のケーシングトリートメント(CT)を組み合わせた複合型CTが従来技術に比べて高い安定作動範囲拡大効果を有することを実証すると共に、その効果を最大化するための知見を得ることを目的としている。本年に実施した研究内容は、以下の通りである。 複合型CTに関する研究を効率的に進めるには、事前に各CT単体の適用効果について調査を行う必要があり、周方向溝型CTに関しては、本研究課題に着手する前に最適な適用位置や溝深さなどについて調査を行っている。このため、本年は自己再循環型CT単体に着目して、本研究で用いる低速軸流圧縮機円環翼列試験装置への適用を考慮したうえで、その最適な流路形状について数値解析を用いて検討した。自己再循環型CTの流路形状に関しては、公開されている研究資料が少なく、本調査により本研究の遂行に必要となる重要なデータが取得できたと考えており、今後論文としても公表する予定である。また、自己再循環型CTの抽気位置(動翼下流および後置静翼下流)が安定作動範囲の拡大効果に及ぼす影響についても数値解析を用いて調査した。上記調査に並行して、本研究で用いる圧縮機段において動翼列よりも先に静翼列が失速すると本研究の遂行が難しくなるため、静翼形状の三次元化による静翼列の失速点の低流量化についても数値解析を用いて検討した。その結果、静翼形状を周方向へ湾曲させるBow形状とすることで、静翼列の失速点を動翼列の同点よりも低流量側へ移動させることができることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年は、「研究実績の概要」に記載の通り数値解析を用いた検討を中心に研究を進めた。当初の予定では、2021年度中に実験装置の製作を完了させ、性能試験を行う予定であった。しかしながら、世界的な電子部品などの供給不足の影響を受けて、入手予定の機器が手に入らず、実験装置の完成に至らなかった。このため、研究活動に若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に記載の研究活動の遅れを解消するには、早期に実験装置を完成させ、性能試験をスタートする必要がある。実験装置において利用を予定していた物品のうち、入手が難しいものについては入手可能な代替品を選定して利用することで、可能な限り早く装置を完成させる予定である。実験装置が完了次第、性能試験を行い、そのデータを同条件における数値解析結果と比較し、計算手法などの妥当性を評価する。妥当性が確認できた後、ケーシングトリートメントを適用した条件について実験と数値解析により調査を進める。
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Causes of Carryover |
世界的な電子部品などの供給不足の影響を受けて、本研究で利用予定の機器が購入できなかったため次年度使用額が生じた。購入可能な代替品を選定し、その購入に本助成金を充てる。
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